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2020年8月20日 (木)

首都圏青年ユニオン連合会はまっとうな労働組合に非ず@東京都労委

昨日、東京都労委はグランティア事件という不当労働行為救済申し立て事案について、却下するという決定を下しましたが、その理由を見ると、そもそも申し立て組合つまり首都圏青年ユニオン連合会はまっとうな労働組合じゃないと一刀両断されていて、私の知る限りこういうケースって初めてなんじゃないでしょうか。

https://www.toroui.metro.tokyo.lg.jp/image/2020/meirei30-76.html

3 決定の概要 <却下>
  当委員会が申立人組合の資格審査を行った結果、資格審査「決定書」のとおり、申立人組合は労働組合法第2条及び第5条第2項の規定に適合しない。したがって、組合が労働組合法上の救済を受ける資格を有するものと認められないので、本件申立てを却下する。

4 資格審査「決定書」の概要 <不適合>
 ⑴ 組合においては、役員以外の一般の組合員に組合の「すべての問題に参与する権利」があるとはいえず、役員は「組合員の直接無記名投票により選挙」されておらず、会計報告は「組合員に公表」されていないから、労働組合法第5条第2項の要件を欠いている。
 ⑵ 加えて、組合の実態としても一般の個々の組合員が、組合を自主的に組織する主体であるということは困難であり、組合は、「労働者が主体となつて自主的に・・・組織する」という労働組合法第2条の要件を欠いているといわざるを得ない。
 ⑶ したがって、組合が、労働組合法に規定する手続に参与し、同法による救済を受ける資格を有するものであると認めることはできない。

労働組合の資格審査なんて、労働法の教科書ではどちらかというとあんまり力が入っていない部分ですよね。だいたい、不当労働行為事件で労働組合の適合性が問題になっても、「ここをちゃんと直してね」と親切に勧告して、規約を直してくればそれでOKというのが一般的なパタンなので、ここまではっきりと労組法第2条の要件を欠くから駄目じゃ!と蹴飛ばしたのはほとんど例がないと思います。

一体、そこまで駄目出しされた「組合」とはいかなるものなのか、有名な「首都圏青年ユニオン」じゃなくって、こちらの「首都圏青年ユニオン連合会」で検索してみると、

https://roudou-mikata.com/news/index-544.html

首都圏青年ユニオン連合会に加入した場合の特徴について、ご説明させていただきます。
特徴は、以下の2つです。

1.もらえる金額が最大値となる
2.早期に解決できる

??

さらに見ていくと、

しかし、首都圏青年ユニオン連合会は、優秀な法律家が結集している労働組合ですので・・・・

ちょっと待った。これって、自ら「労働者が主体となつて自主的に・・・組織する団体」じゃないって告白しているに等しいような・・・。

さらにもっと見ていくと、

首都圏青年ユニオン連合会は組合費無料ですが、法律専門家と企業経営者など複数所属しており、要求だけではなく、具体的に制度を活用した解決策を提示した上で、要求していきますので、回収が確実で、早期に収束できます。安心してご相談ください。 

労働者は無料だけどなんの発言権もなく、「法律専門家と企業経営者など」が中心の「ユニオン」のようですね。

さらに、退職代行にとどまらず、「労働組合を脱退したい方々へ 」などというページもあり、さすがにこれはいかがなものかと。

 

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コメント

ご紹介のサイトで名指しで非難されている弁護士の黒葛原です

「首都圏青年ユニオン連合会」なる団体は,社会福祉法人千歳会の解雇紛争において,復職を求める団体交渉において,あろうことか使用者側の代弁者として介入し,その後も既存組合への攻撃を繰り返してきたため,現在,千葉地労委において同団体の団交介入排除等を求める救済申立を行っております(千葉地労委令和元年(労)第2号)。

地労委においては,今般都労委が認定したところと同様の指摘を行っているところであります。

この「首都圏青年ユニオン連合会」のサイトには、「労働組合には非弁行為が存在しません」というページがあり、こう論じています。

https://roudou-mikata.com/news/index-1454.html">https://roudou-mikata.com/news/index-1454.html

労働組合が会社側と交渉することは非弁行為に当たるとお訴えになる弁護士の方もたくさんおられます。

しかしながら、労働組合は、労働者の代わりとなって会社との交渉をすることが法的に認められた団体ですので、そもそも「非弁行為」自体が存在しません。

それは、弁護士法第七十二条の条文に「ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と記述されていますが、労働組合は労働組合法という法律によって会社と交渉することが認められているため、この条文に当てはまることになるためです。

つまり、私たちの活動を「非弁行為だ!」と断罪する弁護士の方は、条文を理解された上で、反論することができないから、このように仰っているのかもしれません。
もしかすると、ご自身の立場を守るために、仰っているのかもしれません。

安心して、首都圏青年ユニオン連合会にご加入ください。

この言い分それ自体は確かに正しいのですが、それは当該団体が労働組合法上の労働組合であることが前提なので、今回の都労委決定のように、そもそも当該団体が労働組合法上の労働組合ではないということになると、論理必然的にその活動は「非弁行為」ということにならざるを得ないですね。その意味では、さすが「優秀な法律家が結集している労働組合」だけあって、論理的整合性だけはきちんとしています。

> 首都圏青年ユニオン連合会は、優秀な法律家が結集している
 
労働者が団体交渉する→OK
弁護士が代理交渉する→OK
 
弁護士でも、(組合法の)労働者でもない「法律家」って、どういう方々、なんでしょう?
「バイトしていない法学部の学生」とか?

千葉地労委令和元年(労)第2号
→千葉県労働委員会 令和元年(不)第2号の誤記でした。訂正いたします。

>弁護士でも、(組合法の)労働者でもない「法律家」って、どういう方々、なんでしょう?
>「バイトしていない法学部の学生」とか?

https://roudou-mikata.com/news/index-659.html
で言及されている千歳会側の主張によれば、首都圏青年ユニオン連合会の代表者は司法書士と社会保険労務士の有資格者だそうなので、「法律家」というのは、つまり社労士と司法書士のこと、みたいですね……。

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