ジョブ型にすれば解決するのか?@『Works』161号
リクルートワークス研究所の『Works』161号は「オンライン元年」が特集です。墨痕淋漓の表紙ですが、記事にもいちいち筆文字が出てきます。
https://www.works-i.com/works/item/w_161.pdf
で、その特集に私も顔を出しています。「視点2:ジョブ型にすれば解決するのか」というところです。
在宅勤務において適切に勤怠管理ができない、成果を評価することができないのは、日本企業がメンバーシップ型だからだ。今こそ、ジョブ型に移行すべきだ。昨今このような言説を、メディアを中心に見かけることがある。これに対し、メンバーシップ型、ジョブ型という雇用の分類を提示した本人、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏は違和感を隠さない。「個人の仕事の進捗が見えない、チーム連携がしにくい、評価がしにくいなど、今企業で生じている課題は、確かに個人別に仕事が切り分けられておらず、課やチームに仕事が割り振られていることが背景となっているものが多いのは事実でしょう。しかし、それらの課題が、すべてメンバーシップ型であるために生じる課題でありジョブ型にすればすべて解決される、というように短絡的に考えるべきではありません」と、濱口氏は話す。メンバーシップ型・ジョブ型という言葉を作ったときに、「どちらが一方的にいいもの・悪いものという価値判断的な意味を込めたことはない」(濱口氏)というのだ。・・・・
ちなみに、私の前に登場している視点1の守島基博さんも「「欧米企業はジョブ型だからうまくいく」わけではない」と釘を刺しています。
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今の世論の言説を簡単に整理しますと、昨今コロナ禍をきっかけに、従来のオフィス対面式の働き方(1)から、在宅オンライン式(2)へ切り替えていく際に課題となる社員各人の職務の明確化に対して、より適合的なジョブ型人事制度(3)が望ましいのではないかというものですね。
1、メンバーシップ型人事制度✖️オフィス対面ワーク
2、メンバーシップ型人事制度✖️在宅オンラインワーク
3、ジョブ型人事制度✖️在宅オンラインワーク
(1は◎だったが、2は△または×のため、よって3をめざす!)
ただこのような課題整理であれば、いずれコロナ禍が収まってオフィスに戻ってきた時には再度1のメンバーシップ型に逆戻りすることになりませんか?ここで実は、といいますか、普通に考えればわかることですが、次の選択肢4こそが(多くの日韓企業以外の)世界中の会社で大多数の労働者がつい最近まで良しとしてきたノーマルな組み合わせなのです。
4、ジョブ型人事制度×オフィス対面ワーク
とはいえ、別エントリで議論されてますように、各国各社における労使関係や業種や長期雇用の制度や慣行の違いにより、同じジョブ型でも「ドイツ型」や「アメリカ型」など多彩なバリエーションがあるようで、『具体的にどの部分を、どれだけ『ジョブ型』に進めていくのか?』を細かく確認していくことが必要ですね。
猛暑の今(暦の上では今日が立秋ですが)、全国的に暑さピークで「熱中症」にならぬよう、アタマを冷やすコメントを敢えてさせて頂きました。
投稿: ある外資系人事マン | 2020年8月 7日 (金) 07時27分
まあ、世の中のありとあらゆることをすべて読み込むための万能のマジックワードという素晴らしくも悲しい地位を、この「ジョブ型」という言葉がなぜか獲得してしまったということなのでしょう。
投稿: hamachan | 2020年8月 7日 (金) 09時09分