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2020年7月19日 (日)

大内伸哉『デジタル変革後の「労働」と「法」』

9784539727614_600 大内伸哉『デジタル変革後の「労働」と「法」-真の働き方改革とは何か?- 』(日本法令)をお送りいただきました。ありがとうございます。れによって大内節全開の本です。

新型コロナウイルスの影響により、後世、「コロナ後」「コロナ前」と区分されるであろう大きな転換が、私たちの眼の前で起きています。一言でいえば、アナログ社会からデジタル社会への転換です。もちろん、この転換の動きは「コロナ前」から起きていたことではありますが、もう少し続くと思っていた助走期間は、コロナによって一挙に縮められてしまいました。
本書では、これから到来する「コロナ後」の世界――「21世紀型社会」について、これがどのような社会なのか、そこでは人々の労働はどのように位置づけられているのか、また法はそこでどのような役割を果たすのか、労働法学界の第一人者が模索しています。
未来の予測を単なる空想に終わらせないようにするため、未来の労働を考えるうえで重要と思われる歴史的な出来事・文献も逐次取り上げながら、新たな社会に生じる労働に関する法的課題を検討。そこでは、何が解決すべき課題であるかを示すと同時に、それをどのように解決すべきかという規制手法にも踏み込んでいます。読者の知的興奮をかき立てる、唯一無二の1冊が出来上がりました。 

大内さんの持論が後半に全面展開するのですが、むしろ本書の特色は、初めの第1篇で100ページ以上を費やして、そのための基礎的な議論を展開しているところでしょう。

序章 変わる企業と労働

第1編 20世紀型社会とは何か -産業資本主義の下での企業と労働-
第1章 資本主義と労働・法
第2章 企業はなぜ営利を追求するのか?
第3章 日本型雇用システムと日本型労働法

第2編 21世紀型社会の到来 -デジタル技術の時代-
第4章 デジタル技術が社会を変える
第5章 デジタル技術が働き方を変える

第3編 21世紀型社会の課題 -新たな規制をめざして-
第6章 デジタル技術が労働規制を変える
第7章 デジタル技術がもたらす新たな政策課題

終章 まとめにかえて -21世紀型社会と労働-

第1篇の第3章「日本型雇用システムと日本型労働法」はタイトルからわかる通り、拙著『日本の雇用と労働法』とほぼ同じ問題意識でほぼ同じ領域を、ほとんど同じ視角から論じていますが、それよりも本書の特色はそれに先行する2章にあります。

実はこの2章を読みながら、私は2004年の『労働法政策』の第1章として書いた「労働の文明史」を思いだしていました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/2004-b096.html

古代、中世を経て近代産業資本主義から20世紀システム、そして情報産業社会の21世紀システムの行方は?というその問題意識は、しかしその後私の中ではあまり展開することなく、一昨年『日本の労働法政策』を上梓するときには削除してしまったのですが、もしある程度ゆったりと時間をとれるのであれば、古今の歴史書を読み直してこの部分を書き直してみたいなという気持ちもないわけではありません。

なので、この2章については、私なりに同意するところも異論のあるところもいろいろあるのですが、きちんと展開するにはここ十数年にわたってインプットが足りないので、とりあえずそういう思いだけ書きつけておきたいと思います。

第2編、第3篇は、まさにデジタル時代に向けて労働が、労働法が大きく変わっていくというビジョンを展開している部分です。

おそらくここでも、総論のレベルではかなりの共通認識があるように思いますが、どこに注目するのかという点で、若干の違いがあるようにも感じました。

これは大内さんの本や論文を紹介する際に割と繰り返し述べてきたことのように思いますが、大内さんはどちらかというとデジタルハイエンドなマクロタスクを請け負ってこなしていく高度プロフェッショナルに着目して、労働法がそれに追いついていかないという危機感を示されるのですが、もちろんそれも重要なんですが、わたしはむしろ、大内さんが将来的には縮小し消えていくと楽観的に見ているデジタルローエンドなマイクロタスクをその都度請け負って日銭を稼ぐデジタル日雇型(ウーバーイーツなんかですな)のことも考えていきたいと思っています。

いずれにしても、本書を読んで改めてマクロ世界史的観点での考察を、十数年ぶりにもう一遍じっくりとやってみたいなという思いが湧いてきました。

 

 

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