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2020年7月18日 (土)

梅崎修/松繁寿和/脇坂明『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』

L16569 梅崎修/松繁寿和/脇坂明『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』(有斐閣)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641165694

昭和の名作から最近作,娯楽作から社会派まで,作品が映す仕事/雇用/経済を,労働経済学者ならではの観点で解説。フィクションの世界に実際のデータを照らし合わせることで,登場人物にとっての現実が私たちのリアルとして立ち上がる。想像力を養えるテキスト。

というわけで、この本、映画をネタに仕事の世界のあれこれを解説するという趣向で、実際に体験していない世界のことを映画という仮想現実を通じて理解させるというその工夫はなかなかよくできてます。

どういうテーマでどういう映画が取り上げられているかというと、

第1部 主人公たちの職業人生(キャリアデザイン)を見る
 第1章 自分を「売る」とは:新規学卒労働市場(何者)
 第2章 職業世界に入る若者たち:初期キャリア形成(プラダを着た悪魔)
 第3章 人材が支える企業競争力:現場主義の改善活動(スーパーの女/県庁の星)
 第4章 昇進をめぐる悩み:雇用システムの国際比較(ワーキング・ガール/9時から5時まで)
 第5章 仕事か,結婚か:ワークライフバランス(下町の太陽/男はつらいよ 寅次郎真実一路)
 第6章 流動化する社会を生き抜く:自己投資と転職(マイレージ,マイライフ)
 第7章 自分の会社をつくるという道:小規模企業の世界(洋菓子店コアンドル/ALWAYS三丁目の夕日)
 第8章 職業人生のラストランを飾る:人生100年時代の高齢者雇用(マイ・インターン)
第2部 映像に映し出された変動する社会
 第9章 産業化「離陸」時の企業現場:労働問題の構造(あゝ野麦峠)
 第10章 企業は誰のものなのか:企業とステークホルダー(プリティ・ウーマン/遥かなる走路)
 第11章 新しい雇用をどう生み出して地域を守るか:産業構造の大転換(フラガール/ブラス!)
 第12章 地方企業の生き残り戦略:地域経済の活性化(川の底からこんにちは)
 第13章 サラリーマンの今昔:高度成長期の階層移動(スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねぇ)
 第14章 格差が生み出すもの:能力か,不平等か(天国と地獄)
 第15章 国境を越えた労働移動:外国人労働者・移民(この自由な世界で/やさしくキスをして) 

まず第1章は例の『何者』です。まさに日本独特の「入社」のありようを、(それこそ拙著『若者と労働』なんかよりはるかに雄弁に)物語ってくれる作品ですが、梅崎さんは日本の新卒採用をめぐる歴史を語るにも、さまざまな映画を繰り出していきます。

まず戦前編が小津安二郎の『大学は出たけれど』、高度成長期が加山雄三演ずる『フレッシュマン若大将』、バブル期は織田裕二主演の『就職戦線異状なし』、そしてその時代のもう一つの生き方で、後には氷河期世代の悲惨さの象徴となるある言葉を冠した能天気なリクルートの創刊5周年記念映画『フリーター』も。

そういえば、この『フリーター』って映画は拙著『若者と労働』で取り上げたんでした。

第3章の二つの映画は、本田一成さんの本を勧めても読まない人に、「パートの基幹化」ってどういうことかを理解させるのに一番いい特効薬でしょう。

そしてなによりも、やたらに一知半解の「ジョブ型」っちゅう言葉が乱舞している今現在、第4章のアメリカ映画は、本場の「ジョブ型社会」ってのがいかなるものであるのかを、私なんぞが百万回ブログで書くよりも、その社会のノンエリートホワイトカラー女性の眼差しから描き出すことにより、はるかに雄弁に訴えかけてくれるでしょうね。

てな具合で、いちいち各章ごとに紹介していきたいのですが、あとはぜひ皆様が直接本書を手に取ってじっくりと読んでみてください。

あと、本書には、仕事映画にかかわる仕事歌の歌詞が2つほど載っています。せっかくなので、それを聴いてみてください。まずは第5章に出てくる倍賞千恵子の「下町の太陽」。

そして、第13章の植木等の「スーダラ節」。

 

 

 

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