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2020年7月 4日 (土)

脇田滋編著『ディスガイズド・エンプロイメント』

Eb5zq2avcaazoki 脇田滋編著『ディスガイズド・エンプロイメント 名ばかり個人事業主』(学習の友社)をお送りいただきました。

「Disguised Employment」とは偽装雇用。実態は雇用労働者なのに個人請負の自営業者であると偽装(disguise)している、というより、させられている人々のことです。

本書は、労働法学者の脇田さんの編著となっていますが、分量的に大部分はそうした個人請負という形で働いている人々の団体の活動家による実態報告集で、最後に脇田さんによる解説がついているという構成です。

ただ、ここに並んでいるさまざまな実態を、ひとしなみに「ディスガイズド・エンプロイメント」といえるかは疑問な面もあります。

おそらくこれらのうち、実態が雇用労働者とほとんど変わらず、まさにディスガイズというべきものとしては、丸八の営業社員や、スーパーホテルの支配人、美容師・理容師といった人々の例でしょう。

他方、すでに中小企業協同組合法による協同組合を作っている日本俳優連合などの場合、労働法上の労働者として認めろというよりは、フリーランスとしての性格を維持しつつ、特殊な雇用類似の働き方として、労働法のある部分を準用するような仕組みを求めているのでしょう。

さらに、最後の楽天ユニオンになると、プラットフォームの職業的ユーザーの保護という、今日世界的に大きな政策課題となっている問題の焦点であり、ディスガイズというよりも新たな次元の保護が必要という話になります。

その中間に、労働組合を作って交渉する権利を確立しようとする人々がいて、冒頭に出てくるウーバーイーツユニオンをはじめとして、団結して自分たちの権利を守るべき集団としての性格を持った人々です。

また、今回のコロナで露呈した問題として税法上の労働者概念(給与所得)と労働法・社会保障法上の労働者概念のずれがありますが(下記エントリ参照)、ヤマハ英語講師ユニオンでもこの問題が取り上げられています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-8b6d89.html(税法上の労働者性と事業者性)

今回の本はどちらかというとわりと新たなタイプの個人請負就業を取り上げています。実は現在でも労働基準監督署の窓口にやってくる労働者性事案の大部分は建設業の一人親方とか傭車運転手といった伝統的なタイプであり、今話題の夜の街の濃厚接触系のお店のホステスなんてのも多いんですが、そういう曖昧な働き方が広い分野にどんどん広がってきていることが、本書から窺われます。

本書の記述の中で注意を引いたのが、日本俳優連合の森崎めぐみさんの記述の最後のところで、2019年5月コペンハーゲンで、FIM国際音楽家連盟による初の国際フリーランス会議が催され、そこで「政府と雇用主は、フリーランスの音楽家に競争法(日本の独禁法に当たる)を適用しないことを明白にしなければならない」と声明したという部分です。

つい3日前に、EUの動きとしてこういうのを紹介したのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-f154a7.html(EUは自営業者の団体交渉を容認するのか?)

EUでは、こういうフリーランスの団体による運動があって、遂に今回欧州委員会競争総局が動き出したのでしょうね。

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コメント

早々にお読みいただき、また所感をありがとうございます。弊組合はFIA国際俳優連合に加盟しており、FIM国際音楽家連盟と頻繁に交流しています。今年の5月には第2回フリーランス大会が予定されていたはずです。機会があればゆっくりお話しさせていただきたいです。御礼までで失礼いたします。

森崎さん、ようこそ。

実は、俳優の労働者性については、本ブログで何回も取り上げてきたテーマでもあります。
そもそも論はこれですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-7de742.html(芸人は民法上れっきとした雇傭契約である件について)

あと、若干その都度のネタ的に取り上げてきました。このエントリにそれまでのものも含めてリンクを張っているので、ご参考までに。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/1765-9678.html(17歳アイドル 異性交際規約違反で65万賠償命令)

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