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2020年7月 3日 (金)

森戸英幸/小西康之『労働法トークライブ』

L24338 森戸英幸/小西康之『労働法トークライブ』(有斐閣)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641243385

日本の雇用社会,日本の労働法は,この先どうなっていくのでしょうか? 10のトピック・ケースについて,著者ふたりが真剣に(ときに面白く?)トークを繰り広げながら考えます。学生の皆さんも社会人の皆さんも,参加して一緒に考えてみませんか。

例によって森戸テイスト満載の表紙に、生のトークライブっぽい雰囲気の前説と、おちゃらけてる感が噴出してますが、中身は意外にまとも、というか(時々怒られることを気にしているらしい)菅野先生の本流から踏み外さないオーソドックスな労働法の議論が展開されています。セトリは次の通りですが、

01 採用の自由──あなたが欲しい
02 労働者性──基準はアンビバレント
03 性差別──just the way y’all are
04 障害者雇用──誰も皆ハンデを抱えている
05 高齢者雇用──私がジジババになっても
06 ハラスメント──「嫌なものは嫌!」と
07 過労死──はたらきつかれたね
08 解雇──リストラは突然に
09 正規・非正規の格差──このやるせないモヤモヤを
10 副業・兼業──もしもバイトができたなら 

この点、菅野理論をどんどん踏み出して/踏み越えて/踏み外して「思えば遠くへきたもんだ♫」という感の漂う大内さんとか水町さんとは対照的です。

さて、各章末にはSpecial Guestというコーナーがあるのですが、第1章の採用の自由では、いかにも日本的大企業の人事の人のいいそうなことを喋っているし、第2章の労働者性に至っては「元アイドルBさん」という人が出てきて、これって作っているんじゃないかと思ってしまいましたが、そのあとは福島大学の長谷川珠子さんとか清家前塾長とか、今津弁護士とか出てきて、あ!これ実在だったんだ!と。

でもね、「元アイドルBさん」という字面を見たら、思わず例の元アイドル(グループB)事件を思い出してしまいましたがな。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/2877-864d.html(元アイドルほか(グループB)事件(東京地判平成28年7月7日))

・・・まあ、この事件自体、小学5年生の女の子にアイドルとして集団による歌唱・ダンスを中心としたライブ活動のほか、○○券を購入したファンとの交流活動(お散歩、コスプレ、プリクラ、ビンタ等)をやらせるといういささかいかがわしげな商売なんですが、それはともかく、労判の席上で渡辺章先生から思いがけない指摘を受けました。

・・・・ふむ、小学校5年生の女の子がアイドルグループとして歌ったり踊ったりすること自体が13歳未満の児童に認められる「映画の製作又は演劇の事業」には当てはまらず、労働基準法の事業分類ではそれと同類ではあるけれども、13歳未満の児童の労働が許されないその他の「興行の事業」なんじゃないか、という指摘です。・・・

・・・こういうアイドルの肉体そのものへの接近接触それ自体を営利の資源とするビジネスモデルというのは、いうまでもなく秋元康氏が作り上げたものですが、やはりその根底にいかがわしさが否定できないように思います。

ということで、あとはPOSSEのアイドル部長坂倉さんにバトンを渡した方がいいようです。

このケース、報告はしたものの、さすがにジュリストには載せなかったのですが、この渡辺先生の指摘はどこかで書いておいた方が良かったかなと思ったりもします。

 

 

と、芸能ネタで受けてみたんですが、これで良かったでしょうか?→三宅亜紗美@有斐閣さま

 

 

 


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