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2020年7月17日 (金)

ロイター英文記事にも登場またはジョブ型社会の人に『ジョブ型』は通じない件

火曜日に和文記事「アングル:日立が進める「ジョブ型」雇用、日本での普及に懐疑的見方も」に私のコメントが載りましたが、その英文記事がアップされたようです。

https://jp.reuters.com/article/hitachi-idJPKCN24F16C

https://www.reuters.com/article/us-hitachi-pay/with-shift-toward-merit-based-pay-japans-hitachi-to-drop-old-ways-idUSKCN24H3CW

ただ、そもそも雇用労働とはジョブであり、それ以外の何物でもないのが当たり前であって、それに「型」なんていう限定がつくこと自体が想定外な(日本以外の)読者向けに「ジョブ型」なんていう言葉が使えるはずもなく、タイトルはこうなっています。

 With shift toward merit-based pay, Japan's Hitachi to drop old ways

このタイトルを見たら、普通のジョブ型社会の人々はみんな、日立は普通の査定のないフラットな職務給から業績査定のある成果主義的な職務給に移行するんだとしか思わないでしょう。だって、そうとしか読み取れないんですから。

ところが、そのつもりで読んでいくと、

・・・But first it will lay out job descriptions for its domestic workforce and use those as criteria for performance assessments that will eventually link to pay.

はぁ???

初めて職務記述書を作るって?まさか今までなかったの?

そしてますます訳が分からなくなるのは、その初めて作る職務記述書が、なぜか業績査定の基準だと。

いやいや、エグゼンプトとかは別にして、普通の労働者の職務記述書ってのは、「これだけはちゃんとやれ!そしてこれ以上余計なことはするな!」ってものであって、こういう記述を見ると頭がこんがらかるでしょう。

日本語でやっている分には通じたつもりになっているものが、英語に直すとごまかしがすべて露呈する、ってののいい実例ですね。

なぜかいま大音量でいわれている「ジョブ型」ってのは、要するに成果主義賃金にしたいという以上のことは含まれていないわけです。

というわけで、私のコメント部分はほぼそのままこう訳されています。

But Keiichiro Hamaguchi, research director general at the Japan Institute for Labour Policy and Training, said many manufacturers would be reluctant to adopt job descriptions for their blue-collar workers since it would tie them to a specific process though most can perform a wide range of tasks.

That flexibility on the factory floor has been a pillar of Japan Inc.

“Tech companies like Hitachi have been frontrunners in this because the manufacturing part of their business has already been sold or gone to contractors,” he said.

“But do Japanese automakers really want to introduce a system similar to General Motors or Chrysler for factory workers?”

 

 

 

 

 

 

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コメント

このねじれに捻れた複雑怪奇なテーマを、報道メディアの限られたスペースで、一般の外国人読者に分かりやすくかつ正確に説明するのは至難の業ですね。そこで、勝手ながら小職のできる範囲で一部表現を修正しました。少しでも「誤解」がとければと切に願いつつ…。

タイトル
前 With shift toward merit-based pay, Japan's Hitachi to drop old ways
後 With shift toward “job-based” system, Japan's Hitachi to drop old ways
注 今回の制度改定は、成果/業績給(merit-based pay)という賃金論に限定される訳ではありません。人事管理の基盤材料を、従来の年次(Seniority)からジョブベースに切り替えるという大掛かりな仕様変更の筈です。

前 Seniority-based pay made sense when the factory floor was the main training ground and new hires were taught to produce TVs, displays and chips from scratch, Chairman Hiroaki Nakanishi said in an interview.
後 Seniority-based job assignment practice made sense when the factory floor was the main training ground and new hires were taught to produce TVs, displays and chips from scratch, Chairman Hiroaki Nakanishi said in an interview.
注 同様に、年齢等の属人給(Seniority-based pay)を支えるわが国企業の独自の雇用慣行それ自体、すなわち年次ベースの異動/人材配置(Seniority-based job assignment practice)が指摘されるべきです。

前 〜highlights the realisation that for many Japanese firms old-school human resources practices aren’t practical.
後 〜highlights the realisation that for many Japanese firms old-school human resources practices, so called “membership-type”, aren’t practical.
注 最後に、引用符を入れて「メンバーシップ型」と挿入。これにより、日本独自の雇用慣行が「メンバーシップ型」という視点で近年再発見されたこと、一方で、冒頭タイトル内の”ジョブ型“に対比する対立概念であることを示唆します。

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