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2020年7月27日 (月)

『日本労働研究雑誌』2020年8月号

1235195_p 『日本労働研究雑誌』2020年8月号は「学び直し」が特集です。

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.html

提言 なぜ「学び直し」? 立田慶裕(神戸学院大学教授)
解題 学び直し 編集委員会
論文 「学び直し」に至る施策の変遷  岩崎久美子(放送大学教授)
社会人の学び直し──オンライン教育の実態と課題  向後千春(早稲田大学教授)
政策としての「リカレント教育」の意義と課題──「教育を受け直す権利」を足がかりとした制度設計にむけて 佐々木英和(宇都宮大学教授)
フランスにおける職業キャリア途上の職業訓練制度 鈴木俊晴(早稲田大学准教授)
リカレント教育の経済への影響 田中茉莉子(武蔵野大学准教授)
世界の変容の中での日本の学び直しの課題 本田由紀(東京大学教授) 

いくつか面白い論文がありますが、まずは「解題」を。書いているのは中島ゆりさんですが、実はかつて2010年と2011年にOECDの若者雇用の報告書(日本のと世界のと)を翻訳したときに、彼女の翻訳で私が監訳したことがあります。その彼女の解題に曰く、

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/08/pdf/002-003.pdf

・・・6 つのいずれの論文もこれまでの日本において「学び直し」があまり根付かなかったことを指摘すると同時に,「学び直し」の重要性を確認することとなった。国が推進する「学び直し」においては IT を活用した手段も検討されてきたが,奇しくも 2020 年,新型コロナの影響で社会全体のオンライン化が急速に進み,既存の社会のあり方が少なからず変容することとなった。本特集が,新時代の労働と学び,そして人生のあり方を考えるきっかけとなれば幸いである。

論文の中で、既存の概念に挑戦しようとしているのが佐々木英和さんの論文です。論文冒頭の要約よりも、中島ゆりさんによるエッジの効いた紹介の方がいいので、そちらを引用しておきます。

「教育」がもつイメージからリカレント教育政策の課題を分析したのが,佐々木論文「政策としての『リカレント教育』の意義と課題──『教育を受け直す権利』を足がかりとした制度設計にむけて」である。リカレント教育は教育政策と労働政策の交差点に位置させなければ政策としての実効性が担保できないが,日本ではその必要性と緊急性を認知しているにもかかわらず,現実は戦略性に乏しい職業訓練の域を出ないものと化し,十分に履行されないまま不発に終わってきたと指摘する。「教育」とは子どもを対象とするものとの思い込みがあるため,社会人は教育を受けさせられたり教育されたりする客体となることを嫌悪し,社会の側は社会人の学習は自己責任として社会的な条件整備をしてこなかった。「学び直す」という営みは,「学習し直す─学習活動を行い直す─教育を受け直す─教わり直す」といった構造で成り立っているが,法整備が進めば,実質的に国民に「教育され直す義務」が課される一方で,国民が「教育を受け直す権利」の主体であることが疎外される危険も生じると危惧する。

1459289_20200727141101 あと、書評は酒井正さんの『日本のセーフティネット格差』(梶谷真也さん)です。この本、わたしも『東洋経済』で書評したんですが、それに比べると本全体をまんべんなく取上げ適切に書評していますね。書評の在り方は、最近ネット上で話題になっていますが、飛んだ見当外れや身辺雑記は論外としても、その本の論点のうちどれだけを取上げて論じるべきかはいろんな考えがあるところだろうと思います。わたしはやはり、ある程度エッジを効かせた書評の方が面白いと思っています。

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/23309

 

 

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