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2020年6月21日 (日)

「いまこそジョブ型だ!だからエグゼンプションだ!」という非論理の雇用システム的原因

昨日のエントリに、「ある外資系人事マン」さんのコメントがついていて、そのうちエグゼンプションについて若干付け加えておく必要を感じましたので、別にエントリを起こして解説しておきます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-389a48.html#comment-118032258

そもそもジョブ型ではない日本では、組織の上から下まで連続的かつ相互浸透的に業務内容がつながっており、ここから上はエグゼンプト、ここから下はノンエグゼンプトという風にきれいに切り分けられません。

それを硬直的なジョブ型に対してフレクシブルなメンバーシップ型のメリットと褒め称えるか、明晰なジョブ型に対して曖昧模糊たるメンバーシップ型のデメリットとけなすかは、情緒論的側面を別にすれば何等本質的ではありません(世の評論家諸氏はその手の情緒論が大好きですが)。

それゆえ、日本の非管理職正社員は、法律上は欧米のノンエグゼンプトに対応する者と位置付けられているにもかかわらず、社会的実体としてはなにがしかエグゼンプト的要素を(様々な程度において)有する者として存在しており(平社員に対して「経営者目線でものを考えろ!」とか)、それゆえサービス残業という形で表れる疑似エグゼンプト現象が極めて広範にみられるのであり、それを(素直に)労働基準法違反と指弾する議論が、社会の現実の感覚から乖離した空疎な観念論であるかのごとく感じられてしまい、それをもっと現実感覚に近づけることがあるべき正しい改革と認識され、その(以上からわかるように、極めてメンバーシップ型感覚に濃厚に根差した)エグゼンプション志向論が、(本来雇用システム論的にはそれとは全く反対の方向性を持つはずの)なんだか最近流行しているらしい手近な「ジョブ型」論に安易にくっついて、

いまこそジョブ型だ!だからエグゼンプションだ!

という(論理的には極めて混乱の極みであるような)非論理が蔓延してしまうのでしょう。

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コメント

付言しませば、日本独自のメンバーシップ型雇用慣行における疑似エグゼンプトの最たる例として、ご指摘の「経営者目線で考えろ!」と「サービス残業」に加えて、年二度の「会社業績連動賞与」を挙げておきます。思うに、一般的な日本の労働者は、特に気にせず自分の年収のかなりの割合を夏と冬の賞与で支給されている(各3カ月支給の場合、計6カ月で年収に占める割合は18分の6、すなわち3分の1)ようですが、この一般労働者の年収に占めるボーナス=変動費の比率は、諸外国の同レベルの労働者と比べて、極めて高い比率ではないかと。むろん正確なデータ比較は労働専門家によるリサーチによりたいですが、小職の実感から言えることは、外資系企業(ジョブ型)で働く労働者の基準となるサラリーは(明らかにコミッションの占める割合が高い営業職は別として)、下がる余地のない「ベースサラリー」(月例固定給×12カ月)を基準に設計及び支給されます。その上でボーナスは、ジョブグレードに応じてベースサラリーの一定割合(例、ジョブレベル1の場合ベースの5%。レベル2なら10%など)を支給することが多く、すなわち一般社員に支給される場合の賞与とは、基準となるベースサラリーのあくまでも「外数」として、薄々と期待しつつも「あれば本当にラッキー!」的な(言葉の真の意味での)「ボーナス」として理解されており、仮に全く出ない場合でもそれはそれで毎月のベースサラリーで世間相場の年収は確保されている故、むしろあるかどうかもわからないものをあまりアテにも出来ないといった感じでしょうか。その点、日本企業の一般労働者における業績連動賞与の年収に占める割合は明らかに高く、いわば年収の「内数」とも言える実態を見るに、ここでも疑似エグゼンプト(経営者と同等の業績連動責任)を感ぜずにはいられません。日本の一般労働者の賃金がずっと上がらない原因の大きな一端も、この割高な賞与比率にあるのではないかと思うのです。

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