税法上の労働者概念と事業者概念@WEB労政時報
WEB労政時報に「税法上の労働者概念と事業者概念」を寄稿しました。
https://www.rosei.jp/readers/login.php
今回のコロナ危機は、雇用労働者と非雇用労働者のはざまをめぐるさまざまな問題を表舞台に引きずり出す効果を果たしていますが、その中でも特に、これまであまり注目されてこなかった税法上の労働者性と事業者性の判断基準が、労働法や社会保障法上の判断基準と食い違っていることの問題点が露呈しつつあるようです。
まず問題になったのは、新型コロナウイルス感染拡大や政府の自粛要請により収入が大幅に減少したフリーランスや中小企業を支援する「持続化給付金」をめぐり、税務署の指導に従って主たる収入を「雑所得」「給与所得」として申告してきた人たちが対象外とされる事態でした・・・・・
(追記)
このエッセイの最後の一文は、
・・・・それにしても、あれだけ熱っぽく交わされている労働法上の労働者性問題の議論において、この税法上の労働者性、事業者性との齟齬に関する問題意識はほとんど見られないことに、あらためて議論の欠落を感じざるを得ません。現実社会では、給与所得か事業所得かという区分こそが重大問題になっているのです。
と、まるで誰もこの問題を取り上げていないかのような書き方をしてしまいましたが、実は『民商法雑誌』という京都系の法学雑誌の今年4月号が「社会の変化と租税制度」という特集を組んでいて、こういう論文が載っていますので、ちゃんとそういう問題意識はある人にはあるということで、お断りをしておきます。
http://www.yuhikaku.co.jp/static/minshoho.html
第156巻 第1号(2020年4月号) 本体4,000円+税
特集 社会の変化と租税制度
企画趣旨●渕 圭吾
働き方の変化と労働法規制の意義と限界――イギリスにおける労務提供契約の不確定化に起因する諸問題を素材として●新屋敷 恵美子
働き方の変化と租税法――所得税を中心に●渕 圭吾
社会保障における所得再分配の現状と課題――老齢年金を主たる題材として●中野妙子
再分配――租税法の観点から●浅妻章如
金融取引と税――金融法研究者の視点から●森下哲朗
デリバティブ取引を中心とした金融取引に対する課税●藤岡祐治
インターネットと抵触法――デジタル・プラットフォームの発展を踏まえて●横溝 大
情報通信技術の発展と国際租税法●渕 圭吾
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