日本郵便社員が持続化給付金って?
日本郵便とかんぽ生命の社員120名が、持続化給付金を申請したことがけしからんと話題になっているようですが、
https://mainichi.jp/articles/20200612/k00/00m/020/174000c
新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援策「持続化給付金」を巡り、日本郵便とかんぽ生命保険は12日、新型コロナとは直接関係がないのに給付金を申請した社員が計約120人いたと明らかにした。かんぽ生命の不正販売を受けた営業自粛による収入減を給付金で補おうとしたとみられる。両社は申請取り下げや給付金返還の手続きを促している。・・・
いやそりゃ、けしかるかけしからんかと言われればけしからんのでしょうが、それよりなにより、不思議でならないのは、日本郵便やかんぽ生命の社員、つまりれっきとした企業に雇用される雇用労働者であるはずの人が、中小企業や個人事業主が対象の持続化給付金を申請できるのかということなんですが。
郵便局員らは、給与所得とは別に、保険の販売成績に応じて支給される営業手当を事業所得として確定申告している。日本郵政グループでは、かんぽ生命の不正販売が発覚した昨年7月から保険販売を自粛しており、営業手当が激減。郵便局員らは、収入減は新型コロナの影響ではないものの、持続化給付金の支給条件を満たすのに目をつけたとみられる。・・・
いやだから、かんぽ不正が原因でコロナのせいじゃないだろというのはそうなんですが、それよりなにより、れっきとした雇用労働者に支払われる「出来高払制その他の請負制」(労働基準法27条)の賃金である営業手当が、なんで事業所得として確定申告できちゃうのかが、そもそも理解困難なんですが。
だったら、日本中で行われている出来高払いの賃金労働者はみんな税法上は労働者ではなく事業者になっちゃうんですかね。
労基法27条の「請負制」は請負契約じゃなくって雇用契約なんだよ、というのは労働法の授業で必ず言われることですが、どうも自信がなくなってきますね。税法上の労働者概念は、労働法上の労働者概念とはかなりかけ離れているみたいです。
みんな、けしかるかけしからんかということばっかりに頭がいっていて、こういうそもそも論には気が回っていなさそうに見えることが、私には一番不思議なんですが。
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>不思議でならないのは、日本郵便やかんぽ生命の社員、つまりれっきとした企業に雇用される雇用労働者であるはずの人が、中小企業や個人事業主が対象の持続化給付金を申請できるのか
>れっきとした雇用労働者に支払われる「出来高払制その他の請負制」(労働基準法27条)の賃金である営業手当が、なんで事業所得として確定申告できちゃうのか
このニュースを読んだときのまず一番の感想がこれでした。が、突っ込みいれてる方を見掛けず自分の感性がズレているのかと様子を伺っていたところに先生の記事。本当にうれしいです。
投稿: あかさや | 2020年6月13日 (土) 18時16分
そう、一番真っ先に出てくるべき当り前の感想のはずなんですけどね
投稿: hamachan | 2020年6月13日 (土) 19時55分