コロナショックの被害は女性に集中@周燕飛
JILPTの周燕飛さんがコロナに関して「コロナショックの被害は女性に集中─働き方改革でピンチをチャンスに─」というコラムをアップしました
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/038_200626.html
JILPTの最新調査のデータを使って、コロナの影響がとりわけ女性を直撃していることを明らかにしていきます。「女性の休業者比率は男性の3倍以上」とか、「労働供給を一時的に減らさざるを得ない子育て女性」とか、「子育て女性の平均労働時間15.5%減、平均月収8.8%減」といった事実が次々と明らかにされていきます。その具体的な分析の一つ一つは是非リンク先をじっくり読んでいただくこととして、ここでは最後のパラグラフで、若干周さんの個人的意見を広げている部分を紹介しておきます。
・・・・新型コロナウィルスの影響で、女性が男性よりも大幅に就業時間を減らしたり、休業したりしていることが、JILPTの5月調査によって明らかになった。その状況が長引く場合には、女性のキャリアに深刻な影響が及ぶことが懸念される。また、就業を控えることによる女性の収入減がさらに続けば、家計にも大きな影響が及ぶだろう[注9]。
もっとも、働く女性にとっては悪いことばかりではないかもしれない。新型コロナの大流行によって押し寄せるテレワークをはじめとする働き方改革の波は、女性にとっては長期的に有利になると指摘する研究者もいる[注10]。
電車通勤が不要で、仕事の傍らで子どもの世話もできるテレワークは、もともと男女格差の解消のためにその普及が期待された働き方の1つである。そのほか、時差出勤、裁量労働等時間といった柔軟性の高い働き方も、女性が正社員の仕事を持続させやすい働き方とされる。感染症対策をきっかけに、テレワーク、時差出勤、裁量労働等の柔軟性の高い働き方が一気に広がり、新型コロナ終息後も日本社会に根付くことが期待される。
柔軟な働き方が普及すれば、女性のライフスタイルに革命的な変化をもたらされる可能性が高い。これまで日本の女性は、妊娠・出産を機にキャリアの主戦場から離れ、子育てが一段落してから、パートとして再就職するという専業主婦流のライフスタイルをとることが多かった[注11]。仮にコロナショックによって大きな「働き方革命」が起きた場合、出産・子育て期を乗り越えて、正社員として働き続ける女性が増える。近い将来、夫婦完全共働きモデルが専業主婦流のライフスタイルに取って代わることも空想ではなくなるかもしれない。その意味で、コロナショックは、男女の雇用機会平等を実現する好機となる可能性を秘めている。
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