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2020年6月11日 (木)

今日の日経病

今朝の日経1面に「つぎはぎ行政のツケ 制度の迷宮、コロナ苦境救えず」という記事が載っているんですが、言っていることのかなりの部分は私も指摘していてその通りという面もあるんですが、どうしても結論がそっちに逝ってしまうのか・・・という感じのラストパラグラフになっていて、なんともはやです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60205050Q0A610C2MM8000/?n_cid=TPRN0026

・・・・欧米はまずお金を配り、事後に不正をただす。スピード重視の発想だ。もたつくうちに日本の労働市場は急速に悪化した。4月の非正規労働者数は前月より131万人減り、失業予備軍ともいえる休業者は過去最大の697万人に達した。ガラパゴス行政のせいで雇用が消失しかかっている。

いやいや雇用が大量に消失したのは失業保険申請者数が2000万人を超えたアメリカでしょう。

休業者が「失業予備軍」だからガラパゴスというのなら、雇用調整助成金的制度の対象者が1000万人を超えたドイツやフランスもみんなガラパゴスだと?

話が混乱しているのは、一方で旧来の日経病的な暴風雨の時でも流動化推進みたいな感覚でこの問題を扱うから。いやいや暴風雨の時に助成金で(失業者ではなく)休業者を増やすのが雇用調整助成金的制度の目的でしょう。

そもそもこの記事の目的は、そういうヨーロッパと共通の制度をもちながら、日本の雇用調整助成金はどうしてこんなにのろいのか、という指摘をする点にあるはずで、そして確かにその指摘は一理あるし、そしてかつてのオイルショック時に作られた制度が今の時代に齟齬があるという指摘もその通りではあるんですが、結論があまりにもあらぬ方向に跳んでしまっている。

日本の問題は、多くの企業が雇用調整助成金がまだ来ないまま大量の休業者を抱えているということだというのなら、まさにその通りなんですが、なんでこういう話になるのか、と。

あと、不正受給の防止という点でいえば、ドイツもフランスも法律で定められた企業の中の従業員代表制がこれにかかわっていて、それがチェック機能を果たしているという点も忘れてはならないと思います。日本では、労働組合もない中小零細企業がまともにやっているかどうかを「過半数代表者」の記名捺印一つで信じられるのかという問題でもあります。本当は山のような添付書類をつけさせたところで仕方がないのでしょうが、それが一種の「ちゃんとやっていない企業」への参入障壁だったという面があるのかもしれません。

1か月足らずで1000万人を超える休業労働者に企業経由でお金が渡る仕組みはどうなっているのか、という方向にこそ関心を向けてほしいところです。

 

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