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2020年6月15日 (月)

『情報労連REPORT』6月号

2006_cover 『情報労連REPORT』6月号をお送りいただきました。

特集は「新型コロナウイルスと労働関連問題 」で、その冒頭に小熊英二さんが登場しています。

http://ictj-report.joho.or.jp/2006/sp01.html(「コロナ危機」と「日本社会のしくみ」企業間の分断線に注目を)

よく分かっている人が語ると、ものごとの筋道が極めて明快です。

まず普遍的な現象をきちんと見つめた上で、

「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる、肉体を使う現業労働者の待遇が悪いのは、普遍的な問題でどの国でも変わりません。知的作業の方が評価も待遇も良く、テレワークもやりやすく、今回のような事態でも感染のリスクも少ない。これは世界のどの国でも同じです。ただし、その格差の表れ方が日本と他国で若干異なるということだと思います。 

日本独特な局面をきちんと摘出する。

日本社会特有の問題があるとすれば、格差が企業規模の相違として表れることです。アメリカではこの問題は人種格差として表れます。・・・
管理的業務と現業との分離はどの国にもありますが、日本の場合は現業を下請けの中小企業に委託するという形が多い。管理部門を本社に残し、現業的な仕事は業務委託としてアウトソースする。それが結果として、企業規模の格差という形になるのが日本の特徴と言えますね。 

もちろん同一社内の雇用形態格差もあるのですが、そればかりに目が行く傾向をこう戒めます。

雇用形態の問題では、派遣労働者がよく問題にされます。・・・雇用形態による格差が誰の目からもわかりやすいからでしょう。それは、派遣社員が派遣先の正社員と同じ職場で同じような仕事をしているからです。 
・・・概して日本では、企業内の待遇格差は問題になるけれど、企業が違うと問題にされにくい。この間、政府が取り組んできた日本型の「同一労働同一賃金」は、同一企業内での均等・均衡待遇を求めるものでしかなく、企業間の待遇差は不問です。それ自体を大きな前進と言うこともできますが、良くも悪くも日本の慣行に沿った施策だと言えるでしょう。

そして、ここ数年来、とりわけ今回のコロナ禍でやたらに持ち上げられるようになった例の『ジョブ型』についても、

一方、職種を問わず同じ企業の正社員は平等にしようとする通称「メンバーシップ型」から、職種ごとの仕事内容で評価する通称「ジョブ型」へ変化させる場合には、現業労働者の評価を意識的に高めないと、職種ごとの格差が広がる可能性が高いです。 

と、きちんと指摘しています。いやまあ、ジョブ型とかメンバーシップ型とかをちゃんと雇用システム論として論じているひとは、そのジョブ型の光と影の陰の部分もちゃんとわきまえて論じている(はず)ですが、流行に乗って「これからはジョブ型だ!」と新商品でも売り込むつもりで威勢よく商っている人々には、その辺がすっぽり抜け落ちてしまっていますからね。「社員の平等」で覆い隠せない格差は、ジョブそれ自体の評価というこれまでできなかった課題を要求するのですが。

そして最後の集団的労使関係についてのコメントも興味深いのですが、

 労働組合に期待するという点では、産業別労働組合が企業間の格差を問題視し、労働条件の適切な最低ラインを決める役割を果たすことです。

というのは相当に現実性に乏しく、

もっと現実的な案としては産業別労働組合がかつての「地区労」のような役割を果たす方法も考えられます。つまり、組合のない企業の労働者が産業別労働組合に個人で加盟し、産業別労働組合が労使交渉をサポートしたり、産業の協約賃金を締結したりする。それができれば、労働者の共感も得られるはずです。 

というのも、小熊さんの「現実的」という形容にもかかわらず、現実に存在する産別の状況からすると、一部産別を除けばやはり現実性に欠ける感はあります。

 

 

 

 

 

 

 

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