野口雅弘『マックス・ウェーバー』
野口雅弘『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』(中公新書)を、中央公論新社よりお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/05/102594.html
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『仕事としての政治』などで知られるマックス・ウェーバー(一八六四~一九二〇)。合理性や官僚制というキーワードを元に、資本主義の発展や近代社会の特質を明らかにした。彼は政治学、経済学、社会学にとどまらず活躍し、幅広い学問分野に多大な影響を及ぼした。本書は、56年の生涯を辿りつつ、その思想を解説する。日本の知識人に与えたインパクトについても論じた入門書。
さてしかし、なんで私のような者のところにこういう本をお送りいただいたんでしょうか。実を言うと、正直よく分からないんです。
私は労働法政策と称して労働問題全般をかなり広く扱っているので、結構幅広い分野の方からいろんな本をお送りいただくことが多いのですが、でもおおむね、何らかの意味で労働問題に関わりがある本なんですね。
もちろん、マックス・ウェーバーも『工業労働調査論』(訳は日本労働協会から)という本を出していますし、そもそも有名な『プロ倫』も資本主義の精神というよりはむしろ労働倫理がメインテーマということからすれば、労働問題の思想家といって不思議はないのかも知れませんが、でも正直言って、私のやっていることとのつながりはそれほど深くはなさそうな感じもします。この辺は、お送りいただいた中公新書編集部の方にどういうおつもりだったのか伺った方がいいかもしれません。
もしかしたら、昨年岩波書店から佐藤俊樹『社会科学と因果分析』をお送りいただいて、その紹介を本ブログでしたことが理由なのかも知れません。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-8337.html(佐藤俊樹『社会科学と因果分析』)
思いだしてみると、今から40年余り前に大学に入ったころのマックス・ウェーバーという人のイメージって、(当時駒場にいた社会学者が折原浩という典型的なウェーバー考証学者だったこともあり)確かにガチ文系という感じでしたね。
野口さんの本は、佐藤さんみたいに話をひっくり返しているわけではなく、まさに文系の新入生向け入門書として達意の文章なんですが、それこそ折原流のガチガチ聖ウェーバー学とは違い、政治学者らしく、その時代の政治社会状況の中で彼の主要著作を見事に位置付けていて、とてもいい入門書だと感じました。
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