シニア全共闘世代の雑誌
服部一郎さんから雑誌『情況』2020年春号が送られてきたのですが、いや正直言って、全共闘世代の全共闘世代のための雑誌ですな。全体からもう半世紀以上昔への追憶ばかりが漂ってくる。
服部さん曰く、
本号は白井聡氏の編集責任号ということで、白井聡氏と山本太郎、鳩山由紀夫、金子勝という大物3氏との対談が目玉となっております。
後は別に読む必要はないかと思います。単なるマニア向けの読み物です。
いやまあ、服部さんみたいな若い世代でこんなのを読むのは変わった「マニア」なんでしょうが、むしろ70代の老境に入った全共闘世代が若かりし頃を追憶するためのシニア雑誌といった方がいいような。
この「大物」インタビュイーの人選も、全共闘の活動家だった人々に、「好きな言論人」を聞いたらダントツで上がった名前だったそうで。要は全共闘爺さまたちの好きなメンツというわけです。確かに、シニアとマニア以外は読まないでしょうね。
なかでも山本太郎と金子勝は特に何も残らなかったですが、さすがに鳩山由紀夫氏に対しては、かつて東アジア共同体を唱えた政治家にいまの習近平政権をどう見るかという、なかなかスリリングな問を発しています。
・・・ここで、是非これは鳩山先生にお聞きしたいと思っているのは、習近平政権をどう見るかということなんですね。やっぱり、アメリカばっかり向いているという状況から、中国へもっと目を向けるという方向へ日本の国策の大元がシフトしなけりゃいけないのではないかということは、長年いろんな人が言ってきたことですけれども。
その一方で、この数年間で急速にある種の不安が広がってきているのは、中国の体制が、どうもちょっとおかしなことになっているんではないかと。例えば、学術の世界なんか見ててもですね、習近平政権になってから、それまでかなり自由にものを書いたり研究したりしていた中国の学者さんが、いまは体制を絶対に批判しないというような姿勢に転ずるとか。・・・
鳩山氏がどう答えているのか、あるいはむしろ答えていないのかは、(大きな本屋があまり開いていない現下の状況ではありますが)是非本屋さんの店頭で確認してみてください。
私の感想は、こういう問自体が、それこそアメリカ帝国主義ハンターイ、米帝に抗する中国社会主義を支援せよみたいな半世紀以上昔の認識枠組の延長線上にあるような。それ全部ひっくり返すような、たとえば最近鬱状態から回復してまたぞろ本を出し始めた與那覇潤さんに問を出させれば、全然違う聞き方になると思うんですが、まあそれはもはやシニア&マニア向け『情況』誌ではないのでしょう。
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