アメリカが特殊なんです
新型コロナウイルスはいまやアジア欧米、世界中で猛威を振るっていますが、後から急激に感染が拡大したアメリカで一気に失業者が増えたのを見て、これがジョブ型雇用社会の現実か、という声もあるようです。
https://twitter.com/gelsy/status/1245820828366733313
ジョブ型雇用社会の現実 / “米国の新規失業保険申請グラフ、コロナウイルスで完全に壊れる : 市況かぶ全力2階建”
ただこれ、同じジョブ型社会といってもアメリカとヨーロッパではだいぶ違います。いま必要な労働力だけを雇えばいいというアメリカに対して、ヨーロッパの特に大陸諸国は、職業意識は強いのでほかの関係ない仕事に配転するということには抵抗が強いですが、リーマンショックや今回のコロナショックのような一時的な急激な労働需要減少に対しては、将来回復するまで(当座仕事はなくても)雇用を維持するというのがむしろ当然と考えられています。そもそも、日本の雇用調整助成金(今回、解雇しない中小企業には9割給付になった)の原型は西ドイツの操業短縮手当であって、長期的に存在し続ける仕事が一時的に減少するのに対してやたらに解雇することには否定的な諸国が多いのです。
先日、JILPTの天瀬副所長のコラムにもあったように、これまでそういうスキームのなかったイギリスでも、ジョンソン政権下で新たに導入されています。いまやむしろアメリカの方が特殊と言っていいのでしょう。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/001.html
ちなみに、欧州労連が欧州労研に作らせたEU諸国の雇用調整助成金型のスキームの一覧表がこちらにあります。
ちなみに、ここにはその他の各国の施策表も載っており、この自営労働者対策も興味深いです。
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