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2020年4月12日 (日)

雇用調整助成金以前のエピソード

Royal タクシー会社のロイヤルリムジンが、新型コロナの影響による経営状況の悪化のため、グループ会社の従業員約600名を解雇することが話題を呼んでいます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200412-00172870/

POSSEの今野晴貴さんが解説していますが、実は法律上の解雇ではなく、合意退職の形をとっているようです。会社側が「休ませて休業手当を支払うより、解雇して雇用保険の失業給付を受けたほうがいいと判断した」「感染拡大の影響が終息すれば再雇用したい」などと説明していることに対して、そもそも再雇用を予約していれば雇用保険法上の事故である「失業」とは認められないので、失業給付を受けられないはずです。

11021851_5bdc1e379a12a_20200412225601 ただ、こういう工夫を思いつくこと自体はあり得る話ではあります。というか、実は雇用保険法以前の失業保険法時代、今から66年前の1954年に、似たようなやり方が認められたことがあるのです。これは、拙著『日本の労働法政策』の157ページにも書いたエピソードですが、本来失業保険法の趣旨に反する再雇用予約付きの一時帰休労働者に失業給付を支給したことがあります。

(2) 一時帰休労働者への給付
 これは法改正ではないが、雇用保険法への改正によって登場した雇用調整給付金の先駆とも見られるものであり、注目しておく必要がある。
 1954年7月、金融引締措置による企業整備が続発する中で、通達「一時帰休制度による失業保険の取扱について」(職発第409号)が発出され、事業経営が窮境にあり大量の失業者が発生するおそれがあるとき、労使間で3か月の一時帰休及びその後6か月の再雇用について労働協約又は労使協定で合意が確保される場合には、一時帰休率2割以下の限度で一時帰休労働者に失業保険金を支払うことを認めるものであった。
 再雇用が予定されているのであるから本来は失業には該当しないはずであるが、実際に大量失業者の発生をもたらすことになるよりも失業保険財政によって解雇を抑制する方が望ましいという考え方であり、ちょうど同じ1954年に小坂善太郎労相の新労働政策によって解雇制限法の制定が打ち出され、解雇に正当理由を要求し、大量解雇を許可制とする案が示されたのと軌を一にしている。

これは言うまでもなく、まだ雇用調整助成金ができるはるか前のエピソードであり、雇用調整助成金と同じ効果をもたらすためには、失業保険法の趣旨には目をつぶってもらってややインチキをするのもやむを得ないという判断に基づくものであったので、雇用調整助成金が既に存在し、しかも今回のコロナウイルスに対応して相当程度(もちろんまだいろいろと文句はあるでしょうが)要件や手続きが緩和されていることを考えれば、そっちを利用すればいいのにわざわざこんな紛らわしい、悪用されかねないやり方をルールをまげて認める余地はほとんどないといえるでしょう。

 

 

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