緊急コラム「新型コロナウイルス感染症と労働政策の未来」
JILPTのホームページに緊急コラムとして「新型コロナウイルス感染症と労働政策の未来」をアップしました。新型コロナ雇用対策のうちから注目すべき3つを取り出して、近年の労働政策の流れの中でどう評価すべきかを論じております。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/002.html
2020年度は何層もの新たな労働政策の門出として出発するはずであった。いや、確かに、法制上はそのように始まった。2018年6月に成立した働き方改革推進法により、既に大企業には2019年4月から施行されていた長時間労働の規制が、2020年4月から中小零細企業にも適用された。同法のもう一つの柱である非正規労働者に対する同一労働同一賃金は、大企業と派遣事業については2020年4月から施行された。2017年5月に成立した民法(債権法)改正の施行日も2020年4月であり、これによる消滅時効の改正に合わせて、2020年3月末に駆け込みで成立した労働基準法第115条の改正(本則5年、附則で当分の間3年)も、同年4月から施行されている。さらに、2019年5月の労働施策総合推進法等の改正により、いわゆるパワーハラスメントに対する事業主の措置義務が、2020年6月から施行され、セクシュアルハラスメント等他のハラスメントへの規制も強化される。このように、労働政策上の大きなエポックになるはずであった2020年度は、しかしながら、2020年初めから世界的に急速に蔓延しパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症への緊急対策が続々と打ち出される中で始まることとなった。ほんの数か月前までは誰も想像していなかったであろう事態であり、現時点ではほぼ誰もその行き着く先を予想することもできない状況である。そうした中で労働政策の未来を論ずるのもなかなか難しいところがあるが、本稿では新型コロナウイルス感染症への緊急対策として打ち出されてきている政策を分析することを通じて、今後の労働政策の方向性を考えてみたい。
1 外的ショックに対する雇用維持型政策の再確認と修正
2 テレワークの推進が問い直すもの
3 小学校休業等対応助成金とフリーランス労働対策の(意図せざる)出発
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