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2020年4月 1日 (水)

JILPT資料シリーズNo.223『過重負荷による労災認定事案の研究 その1』

新型コロナで世情騒然とする中、例によって年度末の駆け込みでJILPTの研究成果物が一気に20冊ばかりアップされました。

https://www.jil.go.jp/institute/list/index.html

Kaju とても全部は紹介できないし、人によって関心も異なると思いますので、ここでは研究手法という観点で注目すべき成果を一つ。それは、JILPT資料シリーズNo.223『過重負荷による労災認定事案の研究 その1』です。

https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/documents/223.pdf

本研究は、過労死・過労自殺等の業務上災害が、なぜ、どのようにして発生するのかを、労働や職場の視点、すなわち職務遂行や職場管理等の社会科学的視点から明らかにすることを目的とする。具体的には、労働時間の長さに着目しつつも、その背景には様々な、職場・業務の事情や物理的・心理的負荷が複雑に絡み合って、過労死・過労自殺等の過重労働が生じていると考えられるところ、個別事案における労働災害発生の主な要因を明らかにしようと試みるものである。

どこが注目すべきかというと、その研究手法です。

独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センターが保有する資料を基に調査研究を行った。下記研究担当者は、①上記資料を基に作成されたデータベースに依拠した定量的な労災認定事案全体の傾向把握、② 発症年代・職種、時間外労働時間数を考慮して一定の基準で抽出した脳・心臓疾患事案の事例分析、③若年層の精神障害事案(かつ生存事案)における記述内容の質的分析(業務負荷に関する被災者本人の問題認識と、職場の上司・同僚等の事実認識・評価を照らし合わせ、事案の経過における被災者の業務負荷や職場の状況についての把握と分析)を行った。(*なお、以下では、脳・心臓疾患事案を「脳心事案」と、精神障害事案を「精神事案」と表記する。)

この「労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センターが保有する資料」というのが何かというと、

過労死研究センターは、平成26 年に制定された過労死等防止対策推進法が定める調査研究事業(8 条)を背景に設置されたものであり、国から、過労死・過労自殺等の脳・心臓疾患、精神疾患に関する行政資料、つまり主として労働基準監督署において認定・判断が行われた資料(調査復命書等資料)を提供され、保有し、調査研究に活用している。 

つまり、労働基準監督署が個々の労災事案について作成した行政文書そのものなんですね。こういう、それ自体は一般に公開されない行政文書それ自体を分析の素材として行う研究としては、実は私がはじめてやった労働局のあっせん事案の分析が有名ですが、こっちは過労死・過労自殺にに係る労災認定事案を分析の対象とするというもので、過労死防止対策推進法に基づく研究成果であるという意味でも注目に値すると思います。

分析内容はここでいちいち書きませんので、リンク先を御覧下さい。池添さんと高見さんというJILPTきっての労働時間専門家による分析です。

あと、中身には立ち入りませんが、労働法・労使関係に関わる研究成果だけ羅列しておきます。

https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/224.html (パワーハラスメントに関連する主な裁判例の分析)

https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/225.html (現代ドイツ労働法令集Ⅰ―個別的労働関係法―)

https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/231.html (中国のプラットフォーム就労関連裁判例の整理と分析)

https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2020/20-04.html (労働協約を通じた派遣労働者の賃金決定―スウェーデンの事例から)

 

 

 

 

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