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2020年4月 4日 (土)

橋本陽子編『EU・ドイツの労働者概念と労働時間法』

507354 橋本陽子編『EU・ドイツの労働者概念と労働時間法』(信山社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.shinzansha.co.jp/book/b507354.html

日独から参集した第一線の執筆陣が、近年改めて議論が盛んな「労働者概念」と「労働時間法」の最新動向を考察する。 

「日独から参集」とありますが、昨年(2019年)9月に開かれた日独労働法シンポジウムに、ドイツのそうそうたる労働法学者たち5名が招かれた時の記録です。

◇日独労働法シンポジウム「労働者概念と労働時間法の最近の展開」の開催に当たって〔和田 肇〕
◆第Ⅰ章 本書の内容〔橋本陽子〕
◆第Ⅱ章 労働者か自営業者か―方法論と比較法―〔ロルフ・ヴァンク(桑村裕美子 訳)〕
◆第Ⅲ章 事業者としての地位と労働者保護との狭間に位置する個人自営業者〔フォルカー・リーブレ(後藤究 訳)〕
◆第Ⅳ章 有限会社の業務執行役員の法的地位:使用者、使用者類似の者または労働者?―ドイツ法およびEU法の観点からの検討〔カーステン・ハーゼ(橋本陽子 訳)〕
◆第Ⅴ章 労働者概念の最近の展開に寄せて〔皆川宏之〕
◆第Ⅵ章 デジタル化する労働の世界における労働時間法―現実と法の通用性の間で―〔リューディガー・クラウゼ(細谷越史 訳)〕
◆第Ⅶ章 架橋的パートタイム制の導入とパートタイム労働の権利の展開〔フランツ・ヨーゼフ・デュヴェル(緒方桂子 訳)〕
◆第Ⅷ章 日独の労働時間法とパート法―クラウゼ教授およびデュベル教授の見解へのコメント〔高橋賢司〕 

労働者概念と労働時間の二大トピックですが、やはりヴァンク教授をはじめとするドイツ流の緻密な労働者概念の追及は読んでいて面白いです。

German ちなみに、この中で2017年の民法典改正で挿入された労働者の定義規定(611a条)というのがでてきますが、それも含めた現代ドイツの労働法の条文は、つい先日アップされたばかりのJILPT資料シリーズNo.225「現代ドイツ労働法令集Ⅰ―個別的労働関係法―」に載っております。訳語は本書とはいささか違いますが。

第 2 編 債務関係法
第 8 章 個別的債務関係
第 8 節 役務提供契約(Dienstvertrag)及び類似の契約
 
第 1 款 役務提供契約
第 611a 条 労働契約(Arbeitsvertrag)
(1) 1 労働契約により、労働者は、他者のために、人的な従属のもと、指揮命令に服 しつつ、他人決定的な労働を給付することの義務を負う。2 指揮命令権は、職務の内容、 遂行、時間及び場所に関係するものでありうる。3 自らの職務及び労働時間を本質的に自 由に決定しえない者は、指揮命令に服している。4 ここでの人的従属性の程度は、その都 度の職務の特性にも従う。5 労働契約の存否の判断については、すべての事情を全体的に 考慮しなければならない。6 契約関係の実際上の遂行が、労働契約性を示している場合に は、契約の呼称は基準としないものとする。  
(2) 使用者は、約定された報酬を支払うことの義務を負う。

https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/225.html

山本陽大 労働政策研究・研修機構副主任研究員
井川志郎 山口大学経済学部准教授
植村新 京都女子大学法学部准教授
榊原嘉明 名古屋経済大学法学部准教授 

こちらもフルに使ってやっていただければ幸いです。

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