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2020年4月25日 (土)

テレワークを遠隔監視労働にしていいのか?

K10012404611_2004241950_2004241957_01_03 昨日のNHKの記事にこういうのがあったのですが、

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200424/k10012404611000.html (テレワーク 働きぶりの“見える化” 導入広がる 新型コロナ)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークを導入する企業が増える中、会社にいないため、働きぶりを直接、見ることができない社員の勤務時間や勤務状況を管理するシステムの導入が広がっています。 

・・・・この企業がテレワークを始める時に導入したのが、パソコンのクリック一つで勤務時間が管理できるシステムです。パソコンのデスクトップ上に、「着席」「退席」というボタンがあり、テレワークを行う社員が業務の開始時と終了時にそれぞれクリックするだけで、自動で日々の勤務時間を管理してくれます。

また、昼食などで休憩に入るときも、そのつど、「退席」と「着席」のボタンをクリックすることで、休憩時間も1秒単位で記録されます。

記録された内容はシステム上で管理され、会社の上司は、部下が今働いているのかどうかや、月の勤務時間がどれくらいになっているかを確認できます。

さらに、このシステムでは、社員が「着席」のボタンを押して仕事をしている間の、パソコンの画面がランダムに撮影され、上司に送信される仕組みもあります。いつ画面が撮影されるか社員には分かりません。

会社では、自宅で働く社員に一定の緊張感を持ってもらう効果があると考えています。また、上司は送信されてくる画面を見れば、部下が今どんな作業をしているか把握ができます。・・・・

いやこれ、ほんとにこういう「見える化」が望ましいものなのかそうでないのか、ちょっと立ち止まって考えたほうがいいのではないかと思いますよ。

確かに、つい昨日まで導入する気がなかったような企業が、新型コロナで急遽テレワークだというわけでやりだしたら、今まで職場でやっていたことを全くそのままやれるようにしたくなるのはよくわかりますが、そこでこういうパノプティコン型遠隔監視労働の形を作り上げてしまったら、せっかくテレワークが本来もたらしてくれたかもしれない大事なものを、生まれる前に踏みつぶしてしまうかもしれないという危惧の念も、少しは持ったほうがいいような気がします。

先日、新型コロナの関係で書いたコラムでも、テレワークに触れてこう述べたところですが、

https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/002.html (緊急コラム 新型コロナウイルス感染症と労働政策の未来)

今回は新型コロナウイルス感染症によって急激に問題意識が持ち上がったが、過去十数年にわたる情報通信技術の発展によって、今や世界的に「いつでもどこでも働ける」状況が広がりつつある。その中で、産業革命時代の労働者が工場に集中して一斉に労働するというスタイルを前提にした労働時間法制の在り方について再検討する必要性が各方面から提起されてきている。今後はむしろ、裁量労働制の見直しとも絡むが、業務の遂行手段と時間配分の決定等について使用者がいちいち指示しないことに着目する形で、テレワークに対する労働時間規制の在り方を見直していく必要があるように思われる。今回どこまでテレワークが拡大するかはまだ不明であるが、今回初めてテレワークを実践することによってさまざまな問題点が指摘され、その法制の在り方が見直されていくきっかけになれば望ましい。 

ここは、当面社員の仕事ぶりが「見えない」ことにイライラが募るかもしれませんが、テレワークという新たな働き方の可能性をできるだけ潰さないような慎重なやり方が必要だと思います。

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コメント

「いつでも、どこでも(anytime, anywhere)」のEurofoundのレポートでヨーロッパのテレワークの状況を見たことがあります。今回、スウェーデンがロックダウンを行わない理由の一つに働き方でもテレワークがかなり進んでいるからということもあるようです。けれども、日本と北欧を比較して考えると、日本でのテレワーク導入はなかなか簡単に行かなそうな気がします。日本の住宅事情という高~いハードルを別にしても、社会的インフラ全体のICT化の進度(たとえば北欧はほぼキャッシュレス)、そもそもオフィスでの働き方からして北欧ホワイトカラーは管理職でなくとも個室が珍しくない、など、おそらく他にも北欧型テレワークには日本とかなり違う背景があるような。単純に「家にパソコンを持ち帰って仕事する」→「だから家での労働時間を管理する」というような認識だと、いやー、どうなんでしょう。

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