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2020年3月23日 (月)

博報堂雇止め事件判決

先週火曜日に出たばかりの博報堂九州支社雇い止め事件の福岡地裁判決が、早速裁判所HPにアップされています。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/333/089333_hanrei.pdf

これはやはり世間の注目度が格段に高いことを示しているのでしょう。判旨の中で最も重要な部分は以下の通りです。

2 争点(1)(労働契約終了の合意の有無)について

⑵ ところで,約30年にわたり本件雇用契約を更新してきた原告にとって,被告との有期雇用契約を終了させることは,その生活面のみならず,社会的な立場等にも大きな変化をもたらすものであり,その負担も少なくないものと考えられるから,原告と被告との間で本件雇用契約を終了させる合意を認定するには慎重を期す必要があり,これを肯定するには,原告の明確な意思が認められなければならないものというべきである。
 しかるに,不更新条項が記載された雇用契約書への署名押印を拒否することは,原告にとって,本件雇用契約が更新できないことを意味するのであるから,このような条項のある雇用契約書に署名押印をしていたからといって,直ちに,原告が雇用契約を終了させる旨の明確な意思を表明したものとみることは相当ではない。
 また,平成29年5月17日に転職支援会社であるキャプコに氏名等の登録をした事実は認められるものの,平成30年3月31日をもって雇止めになるという不安から,やむなく登録をしたとも考えられるところであり,このような事情があるからといって,本件雇用契約を終了させる旨の原告の意思が明らかであったとまでいうことはできない。むしろ,原告は,平成29年5月にはεに対して雇止めは困ると述べ,同年6月には福岡労働局へ相談して,被告に対して契約が更新されないことの理由書を求めた上,被告の社長に対して雇用継続を求める手紙を送付するなどの行動をとっており,これらは,原告が労働契約の終了に同意したことと相反する事情であるということができる。
 そして,他に,被告の上記主張を裏付けるに足る的確な証拠はない。
⑶ 以上からすれば,本件雇用契約が合意によって終了したものと認めることはできず,平成25年の契約書から5年間継続して記載された平成30年3月31日以降は更新しない旨の記載は,雇止めの予告とみるべきであるから,被告は,契約期間満了日である平成30年3月31日に原告を雇止めしたものというべきである。

で、以下雇い止めの正当性を吟味していくのですが、その入口で本件が雇い止めであり、その濫用法理の対象になるのだといっている上記部分がコアになります。

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