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2020年2月 7日 (金)

フリーランスなど雇用によらない働き方の環境整備@未来投資会議

本日の未来投資会議に「新たな成長戦略実行計画策定に向けた今後の進め方のたたき台」というのが出されていて、今のところそれ以外に議事要旨や記者会見要旨はアップされていなので、どういう議論があったかはよくわからないのですが、労働にかかわって、兼業・副業についてとフリーランスなど雇用によらない働き方について若干の記述がされています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai35/siryou1.pdf

このうち、兼業・副業は、厚生労働省の検討が労働時間の通算についてまだ決着がついていないことから、さっさとやれとはっぱをかけている感がありますが、まあそれは想定内ではあります。

兼業や副業は、新たな技術の開発、オープン・イノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として 有効。足下では、副業を希望する者は増加傾向にあるものの、実際に副業がある者の数は横ばいである。副 業経験が本業の賃金に与える影響を分析した研究では、思考・分析といった高度人材では、副業をしている 人が、そうでない人よりも本業での賃金が36%高くなっている。このことは、企業の境界を低くし、従業員に兼 職させることで、本業の価値が高まり得ることを示唆。

‧ 一方、兼業・副業の解禁に積極的な企業は2割程度にとどまる。企業が兼業・副業を認めていない理由には、 「労働時間の管理・把握の困難さへの懸念」が多い。

‧ これらを払拭できる制度整備が課題であり、兼業・副業の促進に向けて、海外の制度も参考に、労働時間の 上限規制・割増賃金規制や労働者の申告制など労働時間の管理方法のあり方について検討。 

注目したいのはむしろその次の項目です。厚生労働省で雇用類似の働き方についての検討会がそろそろ大詰めを迎えていることはご案内の通りですが、どうもそれだけではない話が書かれています。

‧ フリーランスについては、ギグエコノミーの拡大により高齢者の雇用拡大に貢献しており、健康寿命を延ばすと ともに、社会保障の支え手を増やす観点からもその適正な拡大が不可欠。

‧ 希望する個人がフリーランスを選択できる環境を整えるため、内閣官房において、公正取引委員会、厚生労働 省、中小企業庁など関係省庁の協力の下、政府として一体的に、以下の政策のあり方を検討。

① 独占禁止法(優越的地位の濫用)及び下請代金支払遅延等防止法などに基づくルール整備のあり方

② 発注者の指揮命令を受けて仕事に従事する場合(現行法上も「雇用」に該当するもの)の労働法の具体的 適用のあり方 

フリーランスを推進するぞという姿勢に変わりはありませんが、一方で②にみられるように、契約上はフリーランスだということになっているけれども、その実態は雇用契約に該当するようなもの、アメリカの言い方を使えば「誤分類」に対して「労働法の具体的 適用のあり方」を、「内閣官房において」「政府として一体的に」検討すると述べています。これが具体的にどういうことを想定しているのかはよくわかりませんが、注目の必要があるのは確かです。

あと、労働にかかわる項目としては、生産性向上の最後のところに、賃上げと最低賃金の話が出てきます。

‧ 経済成長率の引上げや日本経済全体の生産性の底上げを図りつつ、中小企業・小規模事業者が賃上げしや すい環境整備に積極的に取り組む。

‧ 最低賃金のあり方について検討 

また、大学教育と産業界の関係では、例によって第4次産業革命だから云々という話から、新卒一括採用の見直しにつねげています。

‧ 第4次産業革命は労働市場の構造に著しい影響を与える。その構造変化の代表が「分極化」。米国では、中ス キルの製造・販売・事務といった職が減り、低賃金の介護・清掃・対個人サービス、高賃金の技術・専門職が増 えている。日本でも同様の分極化が発生し始めている。

‧ 逆に、第4次産業革命が進むと、創造性、感性、デザイン性、企画力といった機械やAIでは代替できない人間 の能力が付加価値を生み出す。労働市場の分極化に対応し、付加価値の高い雇用を拡大するため、以下の 政策のあり方を検討。

① 新卒一括採用の見直し・通年採用の拡大に併せて、Society5.0時代の大学・大学院教育と産業界のあり方

② 労働市場の分極化を踏まえた、社会人の創造性育成に向けたリカレント教育のあり方 

 

 

 

 

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コメント

「創造性、感性、デザイン性、企画力といった機械やAIでは代替できない人間の能力が付加価値を生み出す」としても、労働市場の分極化が進展したからといってそのような能力を必要とする雇用の椅子が中スキルの製造・販売・事務といった職の減少をまかなうほど増える保証はありませんし、歴史的に見てそうならない可能性の方が高いのであって、低賃金労働への置き換えが進めば需要不足が深刻化して高賃金の職も絶対数は減少し、経済が縮小する公算の方が大きいでしょう。

このような分かりきった事態を無視してSociety5.0だの言い立てる会議というのは、中の人たちの脳内にお花畑が咲き乱れながら展開するものなのか、それとも皆内心バカバカしいと思いながら白々しく議事が進行するものなのか、まことに興味深いものがありますね。

低賃金の介護・清掃・対個人サービス(を含めた肉体労働すべて)こそが現実の社会を支える基盤なのであって、創造性がどうたら付加価値がどうのといった仕事はそのような基盤に寄生するものにすぎないのであって(宿主にまったく利益を与えないわけではないが)、社会の基盤をなす人々の待遇を改善することこそ未来への投資だと私は思いますね。

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