佐藤博樹編著『ダイバーシティ経営と人材マネジメント』
佐藤博樹編著『ダイバーシティ経営と人材マネジメント 生協にみるワーク・ライフ・バランスと理念の共有』(勁草書房)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b497395.html
ダイバーシティ経営が成功する鍵は、①多様な価値観を持った人材を経営目標に統合する理念統合経営、②多様な人材をマネジメントできる職場管理職の育成、③多様な人材の仕事へのコミットメントを支えるWLB支援である。本書は生協で働く多様な人材を対象とし、日本企業全体の人材マネジメントに有益な情報を提供する。
副題からも窺われるように、本書は生協総合研究所のワークライフバランス研究会の成果で、生協職員の定着対策として、ワークライフバランスと生協の理念というのが掲げられているわけです。島貫さんの3章と小野さんの4章が理念編、それ以外がWLB編ということでしょうか。
梅崎さんが分析している主婦パートの性別役割分業意識と、こういった協同組合運動の理念みたいなものをどうつなげて議論するのか、もう少し踏み込みがあると良かったかな、と。
その意味で、読んで面白いのは、第8章の平田未緒さんのキャリアパート職員のモチベーションの話で、
・・・実際、理念統合経営の結果、つまり「理念への共感」が、キャリアパート職員に対するインタビューにおいて、語られることはなかった。また、「ワーク・ライフ・バランス支援」がモチベーションにつながっていると語る人も、ごく少数にとどまった。・・・
と、おそらく生協総研が出したかった結論とは違う結果になっていますね。
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