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2020年2月23日 (日)

金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』

9784065181942_w 現代日本では、韓国に関する本や記事が妙に反韓種族主義的なバイアスがかかったものが多く、せっかくいい論点を挙げながら、それを普通の(日本や他の諸外国における事象であれば普通の)文脈からわざわざ外れてしまっているものが多いのですが(下記旧エントリ参照)、そういう妙な文脈による歪みがなく、ストレートに現代の韓国社会の歪みを、教育、雇用、福祉といったまさにソーシャルな問題領域に即して、ややジャーナリスティックなスタンスで書かれた本として、大変参考になりました。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000327871

政府の過剰に新自由主義的な政策により、すべての世代が競争に駆り立てられている「超格差社会」韓国。その現状を徹底ルポ!

第一章 過酷な受験競争と大峙洞キッズ
第二章 厳しさを増す若者就職事情
第三章 職場でも家庭でも崖っぷちの中年世代
第四章 いくつになっても引退できない老人たち
第五章 分断を深める韓国社会

◎子供
小学5年で高校1年の数学を先行学習、
1日に2、3軒の塾を回る。
幸福指数は、OECDの中で最下位クラス。
◎青年
文系の就職率56%。
厳しい経済状況のもと、
人生の全てをあきらめ「N放世代」と呼ばれる。
◎中年
子供の教育費とリストラで、
中年破綻のリスクに晒される。
平均退職年齢は男53歳、女48歳。
◎高齢者
社会保障が脆弱で、老人貧困率45%以上。
平均引退年齢の73歳まで、
退職後、20年も非正規で働き続ける。

政権が政策を誤れば、これは世界中のどこの国でも起こりうる。
新自由主義に向かってひた走る、日本の近未来の姿かもしれない! 

ただ、これだけ多方面に噴出している社会の歪みの減少を、単純に新自由主義的な政策による「行き過ぎた資本主義」と言っていいのかにはかなり疑問を感じます。

これはここ30年間の日本の社会問題についても同じことが言えるのですが、欧米社会で新自由主義的な政策がとられても、それはそれなりの様々な問題は発生するとしても、この本に描かれているような形では発生してこないのではないか、その意味では、これは何よりもまず、韓国型社会システム、そのサブ諸ステムとしての韓国型教育システム、韓国型雇用システム等々の問題であり、それが1990年代以降の新自由主義的政策と化学反応を起こして、他のどの国にも見られないような事態をもたらしているのではないか、という印象を強く受けました。

その、新自由主義的な政策とまずい化学反応を起こしてしまうという意味では日本型システムと似ていながら、そのありようがまたかなり違っていて、特に、第2章と第3章は、私が『若者と労働』と『日本の雇用と中高年』で論じたのに相当する対象を取り上げているだけに、若者にしろ中高年にしろ、韓国と日本におけるその状況の大きな違いに興味をそそられます。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-31a0.html (リベサヨのちょうど正反対)

_1 どれもこれも、まことに「ソーシャル」な問題意識に満ちあふれた記事です。これを訳して西欧人に見せて、この雑誌は左翼雑誌と思うか、右翼雑誌と思うか、と聞けば、100人中100人までが、口をそろえて、「なんとすばらしい左翼雑誌だ!自国の可哀想な人々だけではなく、近隣諸国の貧困、社会問題にも関心を注ぎ、国境を越えた連帯を広げようとしているじゃないか!」というでしょう。
その人に、「いや実は、結構有名な右翼雑誌であって、こういう特集をするのも、『やあい支那朝鮮のばあか』と罵って気持ちよくなるための「おかず」に過ぎないんだ」と正直に伝えたら、頭を抱えてしまうでしょうね。 

 

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