萬井隆令さんの再三批判@『労働法律旬報』1月合併号
『労働法律旬報』1月合併号は、「[労旬70周年記念特集]現代日本の労働法学の課題を考える」と題して、浅倉むつ子/新谷眞人/唐津博/毛塚勝利/道幸哲也/野田進/深谷信夫/藤本茂/萬井隆令/脇田滋/和田肇というそうそうたる人々によるエッセイを載せています。
http://www.junposha.com/book/b497445.html
そのうち、萬井さんの「研究者の反論の権利と責任」は、例によってせっかく批判したのに反論してこないのはけしからんぞ、という多くの研究者に対する批判プラス、珍しくいちいち(ブログ上で)反論する私に対する、紙媒体と電子媒体の時間差相互応酬という再三批判からなっています。前者については私は第三者なので萬井さんに批判された研究者の方々をどうこういう立場にはありませんが、後者については、せっかくなので、本ブログ上での反批判のエントリを紹介しておきます。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-7875.html (萬井隆令『労働者派遣法論』)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-0a46a8.html (萬井隆令さんの反批判@『労働法律旬報』4月下旬号について)
このうち、DNPファイン事件をめぐる論点については、そもそも請負元と請負先の両方が指揮命令している場合をどう考えるべきかという理論的な問題と、この個別事案について実際の指揮命令関係がどうであったのかという事実的な問題がやや混乱している感があります。私は判例評釈については判決文だけからしか事実関係を読めないので、それが実際にどのようであったかというレベルの議論にはいけないのですが、私が読み取ったように両方が指揮命令していたのであれば、こう論ずべきという筋道には変わりはないと考えています。
私としてむしろ逆に、もう10年以上もの間繰り返し主張し続けてきていることですが、労働基準行政は戦前から戦後に至るまでずっと一貫して、請負業者のみが指揮命令するのであって、発注者はびた一文も指揮命令してはいけないなどという発想はこれっぽっちもなく、むしろ労働基準法のコンメンタールやら労働基準法研究会報告やらいろんなところで、平然と発注者も指揮命令することを当然視する記述が満ちあふれてきたということに対する、萬井さんの見解を確認したいと、ずっと願い続けています。
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