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2020年1月26日 (日)

稲葉振一郎氏の労働未来論

Inaba_140_190 労政時報のジンジュールに、稲葉振一郎氏が「「AIが仕事を奪う論」は新しい問題なのか」というエッセイを寄稿しています。

https://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=77381

このタイトル自体は今はやりのやや空疎な議論みたいですが、受け狙い的なAIで仕事がなくなる(からBIや)というたぐいの話をたしなめたうえで、最後の節でとても重要なポイントを指摘しています。

・・・・ウーバーなどが代表する「ギグ・エコノミー」と呼ばれる現象は、ひょっとしたらこれまでの資本主義体制の下で支配的な労働取引方式だった「雇用」というやり方を廃れさせ、「請負」の方を主流にしてしまうかもしれない。・・・・ 

・・・・20世紀中葉までは、技術革新についていくためには、企業は一定の中核的労働者を固定的に雇い続けなければならない、と考えられていた。しかし現代の人工知能は(「汎用人工知能」のはるか手前の段階ですでに)、そのような常識を掘り崩しつつある。企業の雇用の在り方、労働の在り方を変容させる可能性があるという点では、人工知能がもたらす影響は、雇用の短期的な減少よりも「ギグ・エコノミー」に象徴されるような構造変化の推進力となっていくことの方が大きいのではないだろうか。 

これは、私が近年「ジョブからタスクへ」とか「デジタル日雇化」といってる話ですが、雇用という(終身ではなくても)一定程度長期持続する社会関係を前提に構築されてきている労働法や社会保障制度がその基盤を掘り崩されるかもしれないという危機感は、もっと持たれてもいいと思っています。

https://www.works-i.com/column/policy/detail017.html (メンバーシップ型・ジョブ型の「次」の模索が始まっている)

濱口 実は欧米でこんな議論が高まったのはこの2~3年です。つまり欧米の労働社会を根底で支えてきたジョブが崩れて、都度のタスクベースで人の活動を調達すればいいのではないか。あるいはそれを束ねるのが人間のマネジメントだと言われていたものでさえもAIがやるみたいな議論が巻き起こっているのです。・・・・ 

 

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コメント

ジンジュールの寄稿を読みながら「hamachan も言ってたよな」と思ったのですが・・・。Recruit WORKS の対談は2018年3月とほぼ2年も前だったことにちょっと驚きました。もちろんその慧眼ということもあるのですが、その間、自分としては頭の片隅に置きつつもちっとも考えを深める事をしてこなかったなと。

ケン・ケンローチ監督の映画『家族を想うとき』(原題: Sorry We Missed You)はこの問題を示唆深く描いていると感じます。

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