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2020年1月28日 (火)

夢のお仕事?@OECD

Page_1_thumb_large OECDが「Dream Jobs? Teenagers' Career Aspirations and the Future of Work」(将来の夢:10代の若者のキャリアへの期待と仕事の未来)という報告書を出しています。

https://www.oecd.org/education/dream-jobs-teenagers-career-aspirations-and-the-future-of-work.htm

OECD東京センターが簡単な邦文の紹介をしていますが、

http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/teenagers-career-expectations-narrowing-to-limited-range-of-jobs-oecd-pisa-report-finds-japanese-version.htm (10代の若者が将来就きたい職業はごく限られた数の職業に集中している)

調査が行われた41カ国の男子生徒の47%、女子生徒の53%が30歳で就きたい職業はわずか10種類の人気のある職業に集中していました。2019年12月に公表された最新のPISA調査とPISA2000調査の結果を比較するとこの集中度が男子生徒では8ポイント、女子生徒では4ポイント上昇していることから、将来就きたい職業の種類が狭まっていることがわかりました。
本報告書によると、職業の選択肢が限定されている要因は、恵まれない家庭の若者とPISAの読解力、数学、科学の成績があまり良くなかった生徒にあります。・・・ 

若者がますます数少ない「夢のお仕事」に夢中になって、現実社会で必要とされる仕事を希望しなくなっているのは問題だ、困ったものだ、というOECDの中の人の苦虫が噛みつぶされる音が聞こえてきます。

この手の話ではいつもことですが、例によって、褒められている国はデュアルシステムのドイツやスイスです。

本報告書から、10代の若者に強い確たる職業訓練を施している国々では、若者が就きたい職業の幅がより広いことがわかります。例えばドイツとスイスでは、10種類の職業に関心を示した若者の数は、10人に4人未満でした。それに対してインドネシアでは、女子生徒の52%、男子生徒の42%が関心を示した職業はわずか3種類-企業経営者、教員、医者(女子生徒)または軍人(男子生徒)-でした。ドイツの10代の若者は、労働市場の実際の需要をより良く反映してより幅広いキャリアに関心を示しています。 

そうじゃない、若者が実現しそうにない夢を追い続けている諸国に対する処方箋は、

本報告書では、若者が就きたいと思う職業とそれを達成するために必要な教育や資格にずれがあることを指摘しています。この問題に対処するには実際の職業と密接に関連したキャリアガイダンスを提供する実効的なシステムを確立する必要があります。 

というわけで、タイトルの「ドリーム・ジョブズ」ってのがとても皮肉を効かせていますね。

これで思い出したのが、だいぶ昔の、金子良事さんとのやりとりです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post.html (「職業教育によって生徒は自由な職業選択が可能になる」はずがない)

・・・・職業教育訓練とは、それを受ける前には「どんな職業でも(仮想的には)なれたはず」の幼児的全能感から、特定の職業しかできない方向への醒めた大人の自己限定以外の何者でもありません。
職業教育訓練は、
>この意見が人々を惹きつけるのは「選択の自由」という言葉に酔っているからです。
などという「ボクちゃんは何でも出来るはずだったのに」という幼児的全能感に充ち満ちた「選択の自由」マンセー派の感覚とは全く対極にあります。
職業教育訓練とは、今更確認するまでもなく、
>選択を強制されるのはそれはそれなりに暴力的、すなわち、権力的だということは確認しておきましょう。
幼児的全能感を特定の職業分野に限定するという暴力的行為です。
だからこそ、そういう暴力的限定が必要なのだというが、私の考えるところでは、職業教育訓練重視論の哲学的基軸であると、私は何の疑いもなく考えていたのですが、どうしてそれが、まったく180度反対の思想に描かれてしまうのか、そのあたりが大変興味があります。
まあ、正直言って、初等教育段階でそういう暴力的自己限定を押しつけることには私自身忸怩たるものはありますが、少なくとも後期中等教育段階になってまで、同世代者の圧倒的多数を、普通科教育という名の下に、(あるいは、いささか挑発的に云えば、高等教育段階においてすら、たとえば経済学部教育という名の下に)何にでもなれるはずだという幼児的全能感を膨らませておいて、いざそこを出たら、「お前は何にも出来ない無能者だ」という世間の現実に直面させるという残酷さについては、いささか再検討の余地があるだろうとは思っています。
もしかしたら、「職業教育及び職業訓練の必要を主張する議論」という言葉で想定している中身が、金子さんとわたくしとでは全然違うのかも知れませんね。・・・・ 

 

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コメント

>調査が行われた41カ国の男子生徒の47%、女子生徒の53%が30歳で就きたい職業はわずか10種類の人気のある職業に集中していました。

https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190806.html
  中高生が思い描く将来についての意識調査2019
によると、高校生のなりたい職業ベスト10は以下の通りだそうです。(男女各400人に調査, 3つまで選択可)

       男子               女子
1位  ITエンジニア・プログラマー    公務員
2位  会社経営者・起業家       看護師
3位  You Tuber 等の動画投稿者   芸能人 (歌手・俳優・声優 等)
4位  ゲームクリエーター        カウンセラー・臨床心理士
5位  ものづくりエンジニア       会社員
6位  公務員                教師・教員
7位  プロeスポーツプレイヤー     保育士 ・幼稚園教諭
8位  教師・教員             絵を描く職業 (漫画家・イラストレーター等)
9位  会社員               文章を書く職業 (作家・ライター等)
10位  学者・研究者           ショップ店員

わずか10種類の人気のある職業というのが具体的にどんな職業か分からないのですが、日本での集中度はどの程度でしょうか?


>若者がますます数少ない「夢のお仕事」に夢中になって、現実社会で必要とされる仕事を希望しなくなっているのは問題だ、困ったものだ、というOECDの中の人の苦虫が噛みつぶされる音が聞こえてきます。

引用されたリンク先
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/teenagers-career-expectations-narrowing-to-limited-range-of-jobs-oecd-pisa-report-finds-japanese-version.htm
には次のような記述がありました。

>医者、教師、獣医、企業経営者、技師、警察官といった20世紀どころか19世紀にも存在していた伝統的な職業は、職場にソーシャルメディアや人工知能が登場した約20年前と同様、引き続き若者が就きたい職として挙げられています。

OECDの中の人が問題視しているのは
(A) 成功すれば華やかだが一部の人しか成功しない職業(芸能人, You Tuber)を希望している
(B) 希望する職業に今後のソーシャルメディアや人工知能の進歩を考慮していない
   (ソーシャルメディアや人工知能の進歩で将来は減少する職業(バスやタクシー運転手等)を希望している
のいずれでしょうか?

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