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2020年1月 1日 (水)

労働基準法女子保護規定に係る管理職

Tzjzychu_400x400 焦げすーもさんが正月早々菅野労働法を読んでいるようですが、

https://twitter.com/yamachan_run/status/1212248622701502464

元日から菅野労働法よむよむ。
女性の労働時間規制があった時代にも適用除外者はあったのね。
「指揮命令者及び一定の専門業務従事者」
「指揮命令者」は管理監督者よりもはるかに広い概念で、いわゆる「管理職」に近いのだろうか? 

正確に言うと、1985年のいわゆる努力義務法によってそれまでの女子保護規定が若干緩和されたときにできた概念ですね。1997年改正によって消滅しましたが、10数年ほど実在していた概念です。

実は、これまさに先月出た『季刊労働法』2019年冬号に掲載した「管理職の労働法政策」で一項割いて解説しています。

 さて、労働基準法上の女子保護規定は1985年の男女雇用機会均等法の制定に伴う労働基準法改正で若干緩和され、1997年の均等法改正に伴う労働基準法改正で(一定の経過措置を伴いつつ)廃止されたことは周知の通りです。それまでの女子保護規定の解釈においては、時間外・休日労働の上限規制は適用除外されるけれども、深夜業の禁止は適用除外されないという、少なくとも法政策としてはかなり奇妙な考え方が採られていたことは上述した通りです。
 しかし、1985年改正で注目すべきはむしろ、これによってある特殊な概念が作り出されたことにあります。1997年改正までの間、労働基準法の女子保護規定は、一部緩和されつつ基本的には維持されていたのですが、その一部緩和のための手段として用いられたのが、この「労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者又は専門的な知識若しくは技術を必要とする業務に従事する者で、命令に定めるものに該当する者」という概念で、一般にはそれぞれ「管理職」「専門職」と呼ばれていました。彼女らは、1985年改正後の労基法第64条の2(時間外・休日労働の制限)と第64条の3(深夜業の禁止)がいずれも適用除外されます。
 この「管理職」は、明確に労働基準法第41条第2号の「管理監督者」よりも広い概念として作られたものです。なぜなら、この「管理職」に該当すると女子保護規定(時間外・休日労働の上限規制と深夜業の禁止)が適用されなくなるだけであって、法第4章の労働時間規定は成人男子と同様に適用されることになるからです。とはいえ、省令(女子労働基準規則)第3条で言うその定義(「業務を遂行するための最小単位の組織の長である者又は職務上の地位がその者より上位にある者で、労働者の業務の遂行を指揮命令するもの」)は、管理監督者と相当程度に重なっています。それまでは管理監督者といえども女子であれば深夜業は禁止であったのが、これにより「管理職」であれば深夜業が可能となったのがいちばん大きな変化だったのかも知れません。
 いずれにせよこの「管理職」とは、この時期の女子保護規定をめぐるせめぎ合いを反映したいささか中途半端な概念でしたが、1997年に男女雇用機会均等法が努力義務から差別禁止に進展したのと合わせ、女子保護規定も労働基準法から消えることとなり、この奇妙な「管理職」概念も法律上から姿を消しました。  

 

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コメント

新年あけましておめでとうございます。1月1日に女性&管理職の記事掲載、感謝申し上げます。その立場で労災にあったのは1997年廃止以降。当時労災申立てができず、東京労働局に電話を入れたら、管理職は該当しない!その程度の勤務状況で労災など認められないと言われ、絶望したことを思い出しました。数年後、有識者のご協力をいただき、申請書だけは受理されましたが認定されず、退職、丸3年間の闘病、法曹界にも相手にせず。当時、女性管理職の労災がこれほどハードル高いものとは思いませんでした。その後女性政策の道に進めば妨害行為を受け、日本男性社会のイバラの道を生き抜き、どん底から這い上がってきました。今年も日本で働くオンナ、頑張らなくては!本年もよろしくお願い申し上げます。

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