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2019年12月14日 (土)

育児休業給付の問題

昨日の労政審雇用保険部会に報告素案が提示されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000576457.pdf

例の副業・兼業関係は、あんまりやりたくないけどやらざるを得ないのでとりあえず65歳以上だけ試行的にやりますね、というリラクタントがにじみ出るようなものになっています。

某紙に廃止という記事が出た高年齢雇用継続給付は、項目だけあって中身は白紙という、ここは意見がまとまっていませんと言わんばかりの姿です。まあ、1994年にできたときは努力義務になった65歳までの継続雇用を促進するためという名目だったのが、すでにほぼ完全義務化されて久しいのになお残存しておるのは、継続雇用を促進するためではなく、60歳定年後の低賃金を補填するためであり、つまり、労契法20条や新パート有期法8条で疑問が呈されている60歳前後の賃金格差を正当化するという役割だけになっているわけですが、そうはいっても現にそうなっているんだからなかなかやめられないというところなわけです。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201912/CK2019120702000149.html (高齢雇用給付金 段階廃止へ 60歳以上の賃金減穴埋め 25年度に半減)

 

一方、同じ年にできた育児休業給付の方は、毎年着実に増えて増えて、遂に求職者給付を追い抜くほどにまで達しつつあるようです。

Ikuji

もちろん育児休業時の賃金補填ということ自体は悪い話ではないので、制度をどうこうしようという言うことではないのですが、財政運営上の観点から報告素案は、「新たに「子を養育するために休業した 労働者の雇用と生活の安定を図る」給付として、失業等給付とは異なる給付体 系に明確に位置づけるべきである」としています。そして、さらに「その収支についても失業等給付とは区分し、失業等給付全体として 設定されている雇用保険料率の中に、育児休業給付に充てるべき独自の保険料 率を設けて、財政運営を行うべきである。育児休業給付に充てる保険料率の水 準は、現在の同給付の支出状況及び今後の見通しを踏まえ、当面、現行の雇用 保険料のうち4/1,000 相当とすべきである。一方で、育児休業給付の在り方に ついて、中長期的な観点で議論していくべきである」と述べています。

この中長期的観点になると思われますが、育児休業給付については保険料の納付と給付の受給とに雇用形態によるずれがあることをどう考えるかという問題があります。

2010年改正前の雇用保険法は適用において非正規労働者について1年以上の雇用見込み要件を課していましたが、現在は1か月以上で適用され、保険料を払うことになります。求職者給付の受給には反復継続して6か月ないし12か月の勤務が必要ですが、それは当然で、適用と給付に釣り合いが取れています。

ところが、育児休業給付は雇用保険法の中で完結しておらず、育児介護休業法により育児休業の取得要件が決まっており、いろいろ複雑ですが、将来子供が1歳半になるまで更新される見込みが必要です。不安定な雇用であればあるほど保険料は払っているけれども給付はもらえない可能性があるわけで、やや煽り気味に言えば、非正規も含めたみんなの保険料で正社員女性の育児休業の面倒を見ているという面があるわけです。

もともと、求職者給付のわきっちょに小さく作った制度のつもりだったのでしょうが、ここまで大きく育ってしまうと、この点をどう考えるかは結構重要な問題になってくるでしょう。

 

 

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