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2019年12月 1日 (日)

藤本昌代/山内麻理/野田文香『欧州の教育・雇用制度と若者のキャリア形成』

487564 藤本昌代/山内麻理/野田文香『欧州の教育・雇用制度と若者のキャリア形成 国境を越えた人材流動化と国際化への指針』(白桃書房)を、著者の一人である山内麻里さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.hakutou.co.jp/book/b487564.html

日本の国際競争力の強化等の課題にあたり、大学教育のあり方や、また新卒一括採用などの人事制度が批判の対象となることが多く、根拠として米国に言及されることが多いが、本書の著者たちは、政府主導型の教育・雇用制度を持つことの多い欧州の方が比較するのに妥当と言う。

本書は経済学・政治学・社会学のバックグラウンドを持つ編著者が、それを活かして行った調査・分析の集大成である。2部からなり、第I部「教育訓練システムと雇用システムとの連動」は欧州各国の教育制度、労働市場への入職のしくみの整理、欧州の教育制度の標準化への制度変革などについてまとめている。第II部「各国の労働制度,教育制度および高度専門職の働き方」は、欧州および米国の労働制度について概観し、ドイツ、フランスの教育制度を詳述する。そして高度専門職の転職、定着の傾向の違いが発生する制度的要因を分析し、フランス、スイスにおける専門的職業従事者の働き方、キャリアについてまとめている。

佐藤教授には「欧州の高等教育と雇用制度の関係を包括的に分析する本書は、日本における大学から企業への移行や、リカレント教育における大学の貢献などに関して有益な視点を提供しよう」 との推薦の辞をいただいており、社会的にも大きな注目を集めるこの分野の研究において、本書が欠くことのできない書籍となるのは間違いない 

教育訓練システムと雇用システムの関連性を、ヨーロッパの特にドイツとフランスの状況を詳しく分析しながら論じていく本で、拙著でいえば『若者と労働』、海老原嗣生さんの本でいえば『お祈りメール来た。日本死ね』で論じたテーマを、徹底的に深堀りした本と言えます。

目次は以下の通りですが、

序章  欧州の教育・雇用制度と若者のキャリア形成
第I部 教育訓練システムと雇用システムとの連動
第1章 各国の教育訓練システムの特徴
第2章 各国の雇用システムと教育訓練システムとの補完性
第3章 欧州の高等教育改革─ボローニャ・プロセスが目指す調和と標準化
第II部 各国の労働制度、教育制度および高度専門職の働き方
第4章 欧州の労働と社会保障に関する制度と専門職の研究経緯
第5章 ドイツの教育訓練システムとキャリア形成
第6章 フランスの高等教育と学位・免状・資格制度
第7章 高等教育修了者の就職における学歴インフレと文理格差
第8章 フランスの管理職・専門職の長時間労働とノブレスオブリージュの瓦解
第9章 科学技術立国スイスの研究支援人材─リサーチ・アドミニストレーターの実態と動向
第10章 仏ジャーナリストの専門職化と専門教育の変容
終章  今後の高等教育修了者の働き方の展望 

フランスにせよ、ドイツにせよ、伝統的な高等教育システムが、21世紀初頭以来のEUのいわゆるボローニャ・プロセスによって、大きくその姿を変えつつあることがよくわかります。

ところで、ひとつ前のエントリで最年少准教授氏の本を読んだことが影響しているわけではないんですが、ドイツのいわゆる専門大学は、原語ではFachhochschuleであり、直訳すれば高等専門学校なんですね。もちろんファッハホッホシューレは中期高等教育卒業後に入るので専門大学と訳さないと誤解を招くからそうしているんでしょうが、日本の高専も実体的には大部分が大学3年時に編入して大学院にも進学していることからすれば、予科付きの専門大学みたいなものかもしれません。

 

 

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