土田道夫編『企業法務と労働法』
土田道夫編・「企業法務と労働法」研究会著『企業法務と労働法』(商事法務)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=9998367
企業の中で多岐にわたって生じる課題を労働法の観点から検討、解説
本書では、民法・会社法・倒産法・知的財産法・独占禁止法などの企業法と労働法が交錯する問題、さらには、コンプライアンス、ダイバーシティ、「働き方改革」などの先端的論点を取り上げ、ケーススタディを用いて法的な考え方を解説する。加えて、企業法務として紛争予防の観点からとるべき対策も示す。
と言うことですが、実は本書、土田シューレの顔見世興行にもなっています。
なぜかリンク先の目次に執筆者名が書かれていないのですが、小畑史子さんと上田達子さんを除いて、全員同志社で土田門下で育った若手労働法研究者たちです。
第1部 理論編
企業法・企業法務と労働法 土田道夫
CSR(企業の社会的責任)・コンプライアンスと労働法 小畑史子
第2部 実務編
債権法改正と労働法 岡村優希
会社法と労働法1―事業取得型M&A(合併・会社分割・事業譲渡) 岡村優希
会社法と労働法2―株式取得型M&A土田道夫
会社法と労働法3―取締役の責任 天野晋介
倒産労働法 山本陽大
知的財産法と労働法1―営業秘密の管理・競業避止義務 河野尚子
知的財産法と労働法2―職務発明・職務著作 土田道夫
独占禁止法と労働法 河野尚子
グローバル人事―国際労働関係法1 土田道夫
グローバル人事―国際労働関係法2 土田道夫
コンプライアンス体制の構築と労働法 石田信平
企業の情報管理 坂井岳夫
女性の活躍―ダイバーシティ人事 上田達子
パワー・ハラスメントへの対応 上田達子
「働き方改革」と労働法務―労働契約法20条/パートタイム・有期雇用労働法) 篠原信貴
この中で一番若い岡村さんが、「債権法改正と労働法」のケース2で、食品宅配サービスのスマートフォンアプリによる配達パートナーが報酬を引下げられたという、(なんとも今日的な)事案を取り上げています。
設問1 X4は、Y2社に対して、手数料・その他費用を控除しない金額での報酬支払を請求できるか。
設問2 X4は、Y2社に対して、本件不利益変更前の水準での報酬支払を請求できるか。
設問3 仮に、本件不利益変更の際に、アプリにおいて、変更後の条件を表示させた上で、「承諾する」と「承諾しない」のボタンが表示され、前者を選択しないと新規の受注ができない扱いとされた場合において、X4が「承諾する」ボタンを選択したとき、設問2の場合とどのような差異が生じうるか。
いやあ、なかなか難しい問題を放り込んできます。岡村さんの回答は是非本書で。
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