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2019年11月14日 (木)

研究者の「働き方改革」と自由な研究時間確保の両立についての日本学術会議幹事会声明

Scj 11月7日付で「研究者の「働き方改革」と自由な研究時間確保の両立についての日本学術会議幹事会声明」が出されています。

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-kanji-3.pdf

これ、本ブログでも8月にNHKニュースウェブと白井邦彦さんの論文をネタにちょっと考えてみたことですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-32b896.html (大学教授の労働時間概念)

・・・白井さんはかなり幅広く労働法の文献を読まれた上で(参考文献にはジンツハイマーまで出てきます)、大学教員に今回の働き方改革関連法で義務づけられた「労働時間の状況の把握」をそのまま適用するのは無理があると主張しています。

今回は日本学術会議という学者先生の本丸が乗り出してきています。

一般労働者向けの働き方改革を下手に我々研究者に適用されたりしたら、自由な研究時間確保ができなくなる!という危機感に溢れています。

ここでは、その本論部分を要約せずにそのまま引用しておきます。

・・・学術研究は、いうまでもなく研究者の自由な意思に基づく活動であって、組織的な指揮命令によって遂行される業務とは性格を異にしている。研究者の自由な学術研究活動が阻害されるようなことがあっては学術研究の停滞を招くのみならず、誰もが生きがいを持ってその有する能力を最大限に発揮できる社会を創るという「働き方改革」の趣旨にも反することとなる。
 研究者には、既に裁量労働制の活用が進められている。その趣旨は、研究状況に応じて労働時間を研究者自身が自由に設計することにある。研究時間は、週や月単位で一律に管理されるべきものではなく、学術研究の性格や進捗状況に応じて研究者自身によって自由に設定されるべきである。しかし、労働行政による裁量労働制の運用が必ずしも学術研究活動の実態に即していないという指摘が多くの大学等の関係者からなされている。
 学術研究活動の自由は最大限尊重されなければならず、勤務時間管理についても学術研究の特性に配慮した取り扱いが望まれる。学術研究の拠点である大学には、自由な学術研究を支えるために大学の自治が認められている。むろん、大学には自治に伴う責任があり、制度を適切に運用しなければならないことは言うまでもないが、自由な学術研究活動として行われる活動に割り当てられる時間を労働時間に入れるかどうかの判断は、大学や研究者の判断を尊重するべきである。大学の自治を尊重し、学術研究の当事者の納得性を基本とした制度の運用が望ましい。
 今般の法改正で導入された高度プロフェッショナル制度については、厚生労働省の通達で大学の学術研究が対象業務から外されている。大学の研究者は最も高度なプロフェッショナルということができるが、現行の高度プロフェッショナル制度についてはその是非を含め様々な議論がある。今後の検討においては、裁量労働制との関係を含め、大学の研究者の自由な学術研究活動に資する方向での検討を求めるものである。
 学術研究を活性化し研究環境のダイバーシティーを確保するためには、女性、外国人、障がい者が活躍することのできる研究環境を整えることが必要である。我が国の研究者が欧米の研究者に比べて長時間労働である傾向も指摘されるところであるが、「働き方改革」の観点からも、短い労働時間で高い研究力を獲得する仕組みを大学等の研究機関が組織として整えていかなければならない。・・・

裁量労働制については、実は今の大学教授たちの大部分は本当は適用できないのが実情でもあり、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-cce81a.html (研究時間が3割の大学教授は専門業務型裁量労働制が適用できない件について)

本気で見直そうとすれば、結構大変な話でもあります。

日本学術会議としては、せっかく昨年の改正で作られた高度プロフェッショナル制度が、企業部門では不人気のようなので、それなら自分らのために使えるようにしてくれというのが本音の要求のようです。

客観的な事情を考えれば気持ちはよくわかるところではありますが、猛然と高プロに反対していた方々はどうされるのか、いささか興味深いところではあります。

 

 

 

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