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2019年11月20日 (水)

労基法の管理監督者とは異なる女活法の『管理職』@『労基旬報』2019年11月25日号

『労基旬報』2019年11月25日号に「労基法の管理監督者とは異なる女活法の『管理職』」を寄稿しました。

 今年の5月に成立した女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律は、タイトルにある女性活躍推進法(女活法)よりもパワハラを規定する労働施策総合推進法の方が遥かに注目されました。現在も労政審の雇用環境・均等分科会でパワハラ指針をめぐって熱い議論が闘わされています。確かに女活法の改正は事業主行動計画の作成義務が300人超企業から100人超企業に拡大されるということなので、あまり注目されないのも仕方がありません。とはいえこの女活法、じっくり読んでいくと労働法上議論のネタになりそうな概念が潜んでいるのです。
 それは、女活法第8条第3項で一般事業主行動計画に記載しなければならない「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合」の「管理的地位にある労働者」という概念です。これを受けた女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令第2条第1項第4号では、これを「管理職」と呼んでいます。
(女性の職業生活における活躍に関する状況の把握等)
第二条 法第八条第一項に規定する一般事業主が、一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、直近の事業年度におけるその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況に関し、第一号から第四号までに掲げる事項を把握するとともに、必要に応じて第五号から第二十五号までに掲げる事項を把握しなければならない。・・・
四 管理的地位にある労働者(以下「管理職」という。)に占める女性労働者の割合
九 管理職、男性労働者(管理職を除く。)及び女性労働者(管理職を除く。)の配置、育成、評価、昇進及び性別による固定的な役割分担その他の職場風土等に関する意識(派遣労働者にあっては、性別による固定的な役割分担その他の職場風土等に関するものに限る。)
十七 各職階の労働者に占める女性労働者の割合及び役員に占める女性の割合
 この「管理職」概念はまた、女活法第9条に基づく一般事業主の認定基準にも顔を出します。
(法第九条の認定の基準等)
第八条 法第九条の厚生労働省令で定める基準は、次の各号のいずれかに該当することとする。・・・・
(4) 直近の事業年度における管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの管理職に占める女性労働者の割合の平均値以上であること又は直近の三事業年度ごとに当該各事業年度の開始の日に課長級より一つ下の職階にあった女性労働者の数に対する当該各事業年度において課長級に昇進した女性労働者の数の割合を当該三事業年度において平均した数を直近の三事業年度ごとに当該各事業年度の開始の日に課長級より一つ下の職階にあった男性労働者の数に対する当該各事業年度において課長級に昇進した男性労働者の数の割合を当該三事業年度において平均した数で除して得た割合が十分の八以上であること。
 このように、「管理職」に占める女性の割合は女性の活躍ぶりを測る重要な指標とされているわけです。そのこと自体は特に異とする必要はありません。ただ、この「管理職」という言葉、ややもすると労働法の他の法律で用いられている似たような響きの言葉とごっちゃにされてしまいかねない危険性を孕んでいます。いうまでもなく労働基準法第41条第2号の「事業の種類にかかわらず監督又は管理の地位にある者」、いわゆる「管理監督者」です。通常の日本語感覚から言えば、女活法は「管理」だけで、労基法は「管理」んに加えて「監督」も入っているのだから、後者の方が広いのだろうと考えてしまいかねません。そうでなくても、「管理職」の方がずっと広くて「管理監督者」は厳密にはとても狭いのだという認識を持つのはなかなか難しいところでしょう。
 いうまでもなくこれは、女活法の「管理職」がその概念を労働法の世界からではなく別のところから持ってきたからなのですが、それはなんだかお分かりでしょうか。女活法の通達(平成27年10月28日雇児発1028第5号)を見てみましょう。
ウ 省令第2条第1項第4項の「管理職」とは、「課長級」及び課長級より上位の役職にある労働者の合計をいうこと。
「課長級」とは、次のいずれかに該当する者をいうこと。
①事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、その組織が二係以上からなり、若しくは、その構成員 が 10 人以上(課長を含む。)のものの長
②同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと。)
 「課長級」の「級」に示されているように、この「管理職」概念は「組織を管理する」という機能からは切り離された職能資格制度における「偉さ」の程度です。確かに、会社組織の中で女性がどれくらい「偉い」地位に到達しているのかが重要なのであれば、実際に管理しているかいないかにかかわらず管理職クラスの人数を数えればいいでしょう。その意味では、女活法の世界ではこの「管理職」概念はそれなりに合理的といえます。
 とはいえ同じ労働法の世界で、いわゆる「名ばかり管理職」という形で、世間で言う「管理職」には該当するかも知れないけれども、労基法上の「管理監督者」には該当しないのだ、といった議論を展開しているそのすぐそばで、堂々とその世間で言う「管理職」を用いて事業主に行動計画を作らせているというのも、なかなかにシュールな世界ではあります。

 

 

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