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2019年10月31日 (木)

待機時間は1割だけ労働時間@福岡地裁

福岡地裁の令和元年9月20日判決は、市営バスの運転手の折り返し点での待機時間の労働時間性について、なかなか興味深い判断をしています。細かい事案の中身はリンク先をじっくり見てください。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/007/089007_hanrei.pdf

運転手は転回場所に到達後、遺留品の確認,車内の清掃等の業務を行い(この部分は労働時間と扱われている)、その後はバス車内又は車外において過ごし,その間,飲み物を飲み,携帯電話を操作し,又は喫煙をするなどする状況もみられますが、場合によってはバスの乗客から,行き先案内,両替,ICカードの積増し等の対応を求められ,これに応じることがあったようです。

判決は、基本的には待機時間は労働時間には当たらないと判断するのですが、

・・・本件請求期間中,待機時間一般について,その間乗務員が労働契約上の役務の提供を義務付けられており被告の指揮命令下に置かれていたものと評価することはできないから,本件請求期間中の待機時間(その間に実作業が生じた場合における当該作業に要した時間を除く。)が一般に労基法上の労働時間に当たるものとは認められないというべきである。・・・

ところがそのすぐ後に「うーーん、でもなあ」と悩ましげに心の中をさらけ出します。

・・・ところで,以上に述べるところからすると,待機時間は,原告らが主張するところとは異なり,概ね休憩時間と認めるべきものということができる。しかし,これら判示したところに照らしても,例えば,転回時間内に終了できない業務が発生したり,転回場所や始発場所におけるバスの移動等においても,なお労働時間と考えられる時間が全く存在しないとまでは見受けられず,他方において,遅れ報告書の提出が必ずしも普及していない現状に鑑みると,このような労働時間を存しないものとして割り切ることには躊躇を感ぜざるを得ない。

そして、

・・・また,路線バスにおける一つの系統の運転業務と次の系統の運転業務との間の時間の一部であるという待機時間の性質に鑑みると,その間が短い待機時間においては,仮にその間に実作業が生じなかったとしても,乗務員は,待機時間の開始後直ちに次の運転業務に備える必要があったということができるから,転回時間の存在を考慮しても,乗務員がその前後の労働から解放されていたとはいい難く,むしろ,乗務員は,なお被告の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるというべきである。

こういう相矛盾するようなことをだらだらと書いた挙げ句、なぜかこういう結論が飛び出します。

・・・そこで,以上に述べるような事情に加え,証拠(乙110)及び弁論の全趣旨から認められる各待機場所の性質及び待機時間の長さに鑑みて,待機時間の1割を労基法上の労働時間に当たるものと認めるのが相当である。

いや、だからなんで1割なんて数字が出てくるの?

大体は労働時間じゃないんだけれど、全部そうだと言い切れないので悩ましい、という気持ちはよく伝わってきますが、だから1割だけ労働時間という根拠が不明です。

 

 

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