カギ括弧付の「同一労働同一賃金」@『ジュリスト』11月号
『ジュリスト』11月号は、「「同一労働同一賃金」の今後」が特集です。え?カギ括弧が余分についているって?いやいや、左の表紙にあるように、この特集タイトルはそもそもカギ括弧付なんです。そして、そこには深い意味が込められているのですよ。
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/020319
【特集】「同一労働同一賃金」の今後
◇「同一労働同一賃金」の位置づけと今後――特集にあたって●荒木尚志……14◇[座談会]「同一労働同一賃金」と人事管理・雇用システムの今後●山川隆一●安藤至大●神吉知郁子●佐藤博樹……18
◇正規・非正規格差是正規制の法的位置付け――比較制度的視点を踏まえて●富永晃一……38
◇非正規雇用の待遇に関する裁判例とパート・有期法8条・9条の展望●小西康之……45
◇短時間・有期労働法における人事管理の課題と法的課題●土田道夫……51
普通、カギ括弧は「いわゆる」という意味で用いられることも多く、この特集でも基本的にはそうなんですが、むしろ「世の中ではそういう言い方をしているけれども、それは本当は正しくはないんだけれども、仕方がないからそういう言い方をしておくけれども」という腹の中からぶつぶつ言っている音が聞こえてきそうな、そういう「いわゆる」なんですね。少なくとも、同じ有斐閣から『同一労働同一賃金のすべて』というタイトルの本を出している水町勇一郎さんはこの特集には姿を現していません。
座談会の中では、安藤至大さんがこう語っています。同一労働同一賃金は本当にやるならまずいけれども、この法律はそうじゃないからいいんだ、という褒めているのか貶しているのか、みたいな。だからこそカギ括弧付なんですね。
・・・そもそも本来の意味での「同一労働同一賃金」というのは、日本企業で見られることが多い職能給はやってはいけないということを意味します。今やっている仕事に合わせて給料を払う必要があるからです。しかしそれでは日本的雇用を不可能にしてしまいます。未経験者の新規採用や長期雇用も出来ない。年功賃金も出来ないことになります。こういう一定の合理性のあるしくみを全部アウトにしてしまうのは、あまりにも乱暴な議論だと私は当初考えていました。・・・
・・・しかし、実際に成立した法律をよく検討すると、これは運用次第では悪くない内容だと私は考えるようになりました。・・・
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