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2019年9月30日 (月)

野田進『規範の逆転』

08122 野田進さんより『規範の逆転 フランス労働法改革と日本』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8122.html

公序よりも合意を重視し、従来の規範構造を逆転させたフランスの2016-17年労働法改革。その分析を通して労働法の意義を改めて問う。

2016年のエル・コムリ法、2017年のマクロン・オルドナンスという労働法の抜本改革によって、フランス労働法がどう変わったかを詳しく教えてくれる本です。

私は本書の元になった論文は大体目を通していましたし、実は昨年までJILPTにいた細川良さん(現青山学院大学准教授)がちょうど同じ領域を研究して報告書をまとめていたこともあり、再確認的な読書になりました。

序 章 フランス労働法改革への注目

第1章 改革の始まり ---2016年エル・コームリ法---

第2章 公序の失墜 ---デロゲーションから補足性原理へ---

第3章 団体交渉システムの改革

第4章 集団的成果協定

第5章 社会経済委員会の設置

第6章 労働契約法の改革 ---労働関係の「確実化」---

終 章 規範の逆転の向こうに

あとがき 

本書は基本的にはここ数年のフランス労働法改革を突っ込んで分析した本ですが、いくつかのところで現代日本にも言及しています。

そして、正直言ってその部分にはいささか疑問が感じられました。

野田さんは基本的に、日本でもフランスと同様に、時期的に並行して、規制緩和政策により「公序の失墜」「デロゲーションの進行」が進んだと言われるのですが(特に第Ⅱ章)、いやむしろ、オランド、マクロン両政権の労働法改革が向かおうとしている先の姿がこれまでの日本の労働法システムに近いのではないかと思います。

それこそ、1日8時間、週40時間という法定労働時間が、現実の企業社会ではほとんど「公序」としての存在感を喪失し、企業レベルの、それも大部分は労働組合ですらない過半数代表者との労使協定によって無制限の時間外休日労働が可能であった働き方改革以前の日本を、部門協約が企業協定に優先し、労働契約が企業協定に優先するこれまでのフランスと同列において、近年の規制緩和を嘆くというのは、いささか現実離れしているように思われます。かつての日本こそがとっくに「規範の逆転」が起こっていたのであって、今回の働き方改革によってそれが(フランスでは究極の規制緩和である)マクロンオルドナンスに毛が生えた程度にまで規制強化されたというべきでしょう。

裏返して言うと、日本がその経済力で注目を集めていた30年前ならともかく、いまやだれも日本のことなど関心を持たなくなったこの時代において、なぜかフランス労働法が部門よりも企業へ、個人よりも企業へという、ある意味ジャポニザシオンとでもいうべき事態が進行しつつあることの意味こそを、フランス労働法研究者の皆様には突っ込んで議論していただきたいなと思うのです。

 

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