『季刊労働法』266号(2019年秋号)
『季刊労働法』266号(2019年秋号)がもうすぐ刊行されるようです。
https://www.roudou-kk.co.jp/books/quarterly/7137/
特集は今注目の「医師・教員の働き方改革 」。
働き方改革において,医師については,他職種と比較しても抜きんでた長時間労働の実態があり,医師の働き方改革に関する検討会で独立して議論が進められてきました。3月に上記検討会における報告書がまとめられ,2024年度から勤務医に適用される残業時間の上限規制の取り組みや,医師の負担軽減策が盛り込まれました。今号では医師,そして,同時期にやはり独立して議論されていた教員の「働き方改革」について考えます。
ということで、こういうラインナップになっています。
◎特集 医師・教員の働き方改革
医師の働き方改革と今後の労働時間規制 早稲田大学教授 島田 陽一
医師も人間らしく働ける社会に向けて,着実な取り組みを ~「医師の働き方改革」,労働組合の立場から~ 日本労働組合総連合会総合労働局長 村上 陽子
医師の立場からみた働き方改革 日本医師会副会長/日本医師会女性医師支援センター長 今村 聡
医師の働き方改革 ~医療を未来につなぐ取組~ 厚生労働省労働基準局労働条件政策課医療労働企画官/同医政局医療経営支援課医療勤務環境改善推進室長 安里 賀奈子
公立学校教員の労働時間規制に関する検討 金沢大学准教授 早津 裕貴
労働組合の立場から見た教員の働き方改革 みらいの教育プロジェクト呼びかけ人代表(元日教組組織労働局長) 藤川 伸治
学校における働き方改革の推進について 文部科学省初等中等教育局財務課課長補佐 鞠子 雄志
どちらも「せんせい」と呼ばれる仕事ですが、その聖職としてのイメージがその労働条件悪化を加速させてしまうという矛盾の中で苦しんでいるという意味では共通する面があるとともに、教員の場合、なまじ公立学校教員の公務員法上の妙な扱いが事態をこじらせているという特殊性もあり、なかなか複雑怪奇な世界ではあります。
それ以外の記事は以下の通りですが、
◎■法令解説■
同一労働同一賃金の実現に向けた法改正の内容 ~雇用形態に関わらない公正な待遇の確保について~ 厚生労働省雇用環境・均等局有期・短時間労働課◎■論説■
年休の時季決定における使用者の関わり ―「不作為を基本とする義務」からの脱却 九州大学名誉教授 野田 進
有期労働契約の更新限度条項に関する一考察 ―労契法19条2号に関する相補的審査及び「無期転換権発生回避行為否認の法理」の展開可能性 南山大学教授 緒方 桂子◎■アジアの労働法と労働問題 第38回■
インド・モディ政権下の労働法改革 大阪女学院大学教授 香川 孝三◎■労働法の立法学 第55回■
集団的労働紛争解決システムの1世紀 労働政策研究・研修機構労働政策研究所長 濱口 桂一郎◎■判例研究■
地方公共団体によるチェック・オフ廃止通告の支配介入該当性 国・中労委(大阪市〔チェック・オフ〕)事件(平成30年8月30日東京高等裁判所,平30(行コ)111号,労働委員会救済命令取消請求控訴,控訴棄却〔上告・上告受理申立〕,労働判例1187号5頁)労働政策研究・研修機構副主任研究員 山本 陽大
自社年金を減額する措置の有効性 法政大学年金減額事件・東京高裁平成30年6月19日判決 D- 1 Law.com判例体系判例ID:28263198 東京農業大学講師 山田 哲◎■研究論文■
労働協約の法的規律に関する一考察(2)ドイツにおける社会的実力要件と交渉請求権の議論を契機として 京都女子大学准教授 植村 新
民法(債権法)改正と労働法 ―労働契約に対する定型約款規制の適用に関する覚書― 関西外国語大学助教 岡村 優希◎■キャリア法学への誘い 第18回■
職業生活設計をめぐる自助・共助・公助 法政大学名誉教授 諏訪 康雄◎■重要労働判例解説■
退職手当を返納した元職員に対する求償 大分県(住民訴訟)事件(福岡高判平成30年9月28日(差戻控訴審)判例集未掲載)全国市長会 戸谷 雅治
アルバイト職員と正職員との労働条件の相違の不合理性 大阪医科薬科大学事件(大阪高判平成31年2月15日労働判例1199号5頁)國學院大學教授 本久 洋一
私の連載は、今回は集団的労使紛争解決システムの歴史です。
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