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2019年9月11日 (水)

雇用保険の積立金で最低賃金を引き上げ??

今朝の日経新聞に、「最低賃金1000円へ中小支援 省庁横断で検討会」という記事が出ていますが、

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49638740Q9A910C1EE8000/

政府は最低賃金を全国平均で時給1000円に引き上げる目標を実現するため、省庁横断の検討会を今秋に立ち上げる方針だ。最低賃金アップが重荷になる中小企業への支援策を立案しつつ年3%以上の引き上げを続けて早期達成を目指す。パート労働者らの厚生年金加入を増やす制度改革の議論とも連動させ、短時間労働など多様な働き方をする人たちの年金の増額にもつなげる。・・・

その先を読んでいくと、簡単に読み飛ばせない一節がありました。

・・・検討会では約5兆円ある雇用保険の積立金を使った中小企業支援策などが議論されそうだ。雇用保険には非正規労働者の処遇改善を促す助成金などがある。・・・

さらりと読むと、特に問題はなさそうですが、いや労働市場が売り手市場で失業者が少ないためにお金が余っているのは、労使折半で保険料を払っている失業等給付の方です。雇用保険法には、失業等給付の他に使用者側のみが負担する雇用保険2事業というのがあって、さまざまな企業への助成金の原資になっていますが、そちらが5兆円余っているわけではありません。

中小企業支援策という以上、使用者側のみ負担の雇用保険2事業から金を出す分には何の問題もないでしょうが、労使折半で失業したときのためのまさに保険料として支払った積立金をそちらに流用できるかというと、かなり脳みそを振り絞って汗をかかないと、まともな理屈は出てきそうにありませんが、たぶんこの記事を書いた日経の記者にはそういう発想はなかったのでしょうね。

無理無理理屈を考えると、最低賃金を無理に引き上げると特に中小企業の場合倒産して失業の恐れがあるので、そうならないための予防措置として失業等給付の財源から最低賃金を無理に引き上げて経営が苦しい中小企業にお金を出すんだ、と言うことになるのかも知れませんが、やはり労使折半の財源から(労働者本人ではなく)企業にお金を出す理屈は苦しいと思われます。

まあ、それこそ「省庁横断の検討会」なので、そういう雇用保険法の理屈は蹴散らして通るのかも知れませんが。

 

 

 

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