メンバーシップ型社会ゆえの「ハイカツ」という奇現象
だいぶ前の日経スタイルに「就活内定後は「ハイカツ」 希望の配属目指しアピール」という記事が載っています。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO48135940S9A800C1KNTP01
来春新卒採用の選考解禁から2カ月。内定をもらってひと安心かと思いきや、「今からが本番」と不安に駆られる学生がいる。今度は希望する配属先に入るためのハイカツ=配属活動が始まるという。いったい何をするのだろう?・・・
就活を終えた学生の間で関心が高まっているのが、入社後に行きたい部署への配属をどうやって実現させるかというハイカツだ。インターン情報サイト「キャリアバイト」を運営するアイタンクジャパン(東京・新宿)の藤原義人社長は「内定者インターンや他社での長期インターンを通じてハイカツをする学生が増えている」と指摘する。・・・
そもそもハイカツが必要になるのは、学生の希望と配属先のミスマッチが原因だ。「先輩たちが入社後に苦しむ様子を見たので何かしなければと思った」と女子学生(22)は話す。・・・
拙著『若者と労働』等で詳しく説明したとおり、そもそも日本社会におけるシューカツ(「就職活動」)とは、いかなる意味でも「職」(job)に就くための活動ではなく、会社という人間集団のメンバーになること(「入社」)のための活動なので、「入社」に成功したこと自体はいかなる意味でも実際に従事する職務を特定することはありません。これまでは会社側も学生側もそれを前提に、「命じたことは何でもやってもらうよ」「命じられたことは何でもやります」でやってきたわけですが、それを、そういう内部労働市場型配置制度ではミスマッチが生じてしまうからと、「入社」型採用という大枠はなんら変えないまま、「入社」後に従事する「職務」を特定するための別の活動を行うという、それこそジョブ型社会の人々から見れば全く意味不明の段階が入りこんできているのが、この奇現象ということになるのでしょうか。
・・・欧米では職種を限定して採用する「ジョブ型」が一般的。「ハイカツは新卒一括採用をする日本特有の現象だ」と佐藤さんはいう。一括採用では就活時に学生が希望についての本音を話せない現状があり、内定後のハイカツにつながる。若い世代ではジョブ型採用を支持する声も聞かれる。ハイカツが盛んになれば、企業は採用を含め人材マネジメントを見直すことが求められるかもしれない。
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