『日本労働研究雑誌』『ビジネス・レーバー・トレンド』10月号
『日本労働研究雑誌』と『ビジネス・レーバー・トレンド』のそれぞれ10月号が出ました。
まず、JIL雑誌ですが、特集は「解雇の救済」です。2017年にシステム研報告で打ち出された救済請求権方式を中心に、いろいろな議論が展開されています。
特集:解雇の救済
提言 解雇の救済規範について 土田道夫(同志社大学教授)
解題 解雇の救済 編集委員会
論文 解雇権濫用法理の現代的意義─法的救済と雇用終了の手続的規整の観点から 古賀修平(宮崎産業経営大学講師)
インタビュー 雇用問題に対する産業別組合の役割─全日本自動車産業労働組合総連合会の取組み 中川義明(全日本自動車産業労働組合総連合会)脇坂一行(全日本自動車産業労働組合総連合会)神吉知郁子(立教大学准教授)西村純(JILPT副主任研究員)
論文 完全補償ルールの考え方 川田恵介(東京大学准教授)
離職した労働者への雇用保険給付─離職理由による違いを中心に 高畠淳子(京都産業大学教授)
職を失うことによる労働者の非金銭的喪失 高橋美保(東京大学大学院教授)
解雇無効時の金銭救済制度設計における法的論点 神吉知郁子(立教大学准教授)
責任編集者でもある神吉さんの論文の最後のこのあたりの提起が、もう少し全体に広がりがあれば良かった気もします。
・・・そもそも、解雇権濫用法理自体が、長期雇用慣行の確立した時代に形成された法理である。しかしその後、保護の厚い正規雇用の機会は減少し続けている。労働者保護のあり方も考え直さなければ、世代間・男女間格差の追認や、増幅にさえなる恐れがある。制度設計に当たっては、労働市場政策的な公平性の観点も重要であろう。・・・
有識者からの提言パワーハラスメントを防ぐために求められるもの労働現場からみたパワーハラスメント―劣化する労働現場 金子雅臣 労働ジャーナリスト
パワハラ防止で必要な企業の取組みと求められる労働者の対応 木下潮音 第一芙蓉法律事務所弁護士
産業保健の観点から考えるパワハラ予防対策 津野香奈美 神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科講師
パワハラ防止で必要な企業の取り組み 新村響子 旬報法律事務所弁護士
パワハラ防止法制の課題と展望 野川忍 明治大学法科大学院専任教授
意図せぬパワハラを防いで人が育つ組織になる 藤村博之 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授事例取材 職場環境の改善によるハラスメント防止の取り組み
【事例1】悪質クレームの相談ルートを社内に浸透―ダスキン労働組合
【事例2】悪質クレーム発生時のマニュアルを作成―イズミヤ労働組合
【事例3】介護職員がハラスメントやストレスを感じない環境作りを―日本介護クラフトユニオン
【事例4】互いに尊重する組織を目指すなかで暴力・ハラスメント対策を推進―日本看護協会
【シンポジウム】『仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約』批准とハラスメントの根絶に向けてJILPT調査 資料シリーズNo.216「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果」から
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