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2019年8月 1日 (木)

『諸外国のプラットフォームビジネス調査』

Jilptplatform JILPTの海外労働情報19-07『諸外国のプラットフォームビジネス調査―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス― 』が刊行されました。

https://www.jil.go.jp/foreign/report/2019/pdf/19-07.pdf

個人請負の拡大など、雇用によらない働き方が拡大する可能性が高まる中、プラットフォームを用いた企業のビジネスモデルをとりまく現状と労働政策課題を明らかにするとともに、諸外国の政労使や非政府組織はどのような取り組みを行っているのかを明らかにする。

今注目されている雇用類似の働き方の一つ、プラットフォームビジネスについて、英米独仏の近況を報告しています。

全体を一枚の表にまとめたものがあるので、概観するにはまずそれをざっと見てください。

Platform

さて、以下は雑考。昨日アップした有償ボランティアの話は、せっかくの高邁な精神によるボランティア活動に下手に労働法なんて適用するとまずいことになるよ、と労働法学者が語っているわけなんですが、そしてそれはその有償ボランティアの文脈ではとてもよくわかる話なんですが、しかし一方では、これまた昨日アップした公文教室指導者もそうなんですが、とりわけこの報告書で取り上げられているプラットフォームビジネスというのも、活用されていない有用な(人的等の)資源を人々のボランタリーな行動によって有効に活用できるようにしていこうという、これまた高邁な精神に基づいていたはず(少なくとも建前上は)なので、精神の高邁さでもって物事を簡単に判断してはいけないよな、という気もします。そういえば、文脈は違いますが、大学病院の無給医もその高邁さではたぶん負けていないでしょうし。

この辺をどう考えるかというのは世界共通に問われている問題なんだろうと思います。

Sachagarben1 例によって、ソーシャル・ヨーロッパ・ジャーナルの最新の記事を紹介しておきます。欧州委員会で労働法を担当した後、欧州大学でEU法を教えているサーシャ・ガーベンさんのエッセイです。

https://www.socialeurope.eu/tackling-precarity-in-the-platform-economy-and-beyond (プラットフォーム経済の不安定さに取り組む)

Indeed, it appears that the online-platform economy is growing ‘for the wrong reasons’—not to deliver new, innovative and better-quality services for the benefit of customers and with the side-effect of quality employment opportunities, but as ‘unfair competition’ undercutting existing industry operators. The profit is generated on the back of the individual worker’s wellbeing and the welfare state’s sustainability. If these ‘externalities’ were properly factored into the calculation of the economic effects of the online-platform economy, it is doubtful that it would generate a net benefit for most of the individuals working within it, or for society at large.

実際、オンラインプラットフォーム経済は「間違った理由で」成長しているように見える。新たな革新的な良質のサービスを顧客に提供するとともに良質の雇用機会を提供するのではなく、既存の産業運営者よりも安売りする「不公正競争」として。その利潤は個別労働者の幸福さと福祉国家の持続可能性の背中に乗っている。もしこれらの「外部性」がオンラインプラットフォーム経済の経済効果の計算に適切に考慮されたならば、そこで働く個人の多くや社会全体にとってのネットの利益を生み出しているかは疑問である。

公文教室の指導者というのも、高学歴だけど無職の専業主婦が、自宅という物的資源と自分という遊休人的資源を活用するというところから始まったものなのでしょうし、その意義を否定する必要はないとはいえ、ビジネス化していけば行くほど、矛盾も出てくるということなのかも知れません。

 

 

 

 

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