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2019年7月31日 (水)

公文教室の指導者の労組法上の労働者性

本日、東京都労働委員会が公文教室指導者の労働組合法上の労働者性を認める救済命令を出しました。コンビニエンスストア店長についても労働者性を認める命令を発していましたが、中央労働委員会にひっくり返されてしまいましたが、似たようなフランチャイズシステムをとる公文式についての今回の命令が今後どういう運命をたどるのか、目が離せません。

とりあえず、都労委のホームページから関係部分を引用しておきます。

http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2019/meirei29-15_besshi.html (公文教育研究会事件命令書交付について)

(1) 教室指導者が労働組合法上の労働者に当たるか否かについて
労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、契約の名称等の形式のみにとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある。
確かに、一般に、フランチャイズ契約には、いわゆるライセンス契約としての側面があることは否定し難く、また、フランチャイジーが会社とは別個の事業者とされていることからすると、フランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を供給することがその契約上当然に予定されているとはいえない。
しかし、本件契約は、教室指導者本人の労務供給が前提となっているということができるし、実態としても、教室指導者は、本人労働力を供給して生徒の指導を行っているというべきである。また、会社と本件契約を締結するのは、教室指導者個人のみであり、本件契約を締結し、法人が本件契約に基づいて公文式教室を運営する例はない。これらの事情からすると、本件において、会社と教室指導者との関係を実質的にみた場合、教室指導者自身が会社の事業のために労務を供給していると評価できる可能性がある。
したがって、上記の点を踏まえつつ、教室指導者が労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、労働組合法の趣旨及び性格に照らし、会社と教室指導者との間の関係において、労務供給関係と評価できる実態があるかという点も含めて検討し、ア)事業組織への組入れ、イ)契約内容の一方的・定型的決定、ウ)報酬の労務対価性、エ)業務の依頼に応ずべき関係、オ)広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、カ)顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。
ア 事業組織への組入れについて
 (ア) 教室指導者の位置付けについて
    教室運営において、会費収入による利益及び教室運営の損失は、教室指導者に帰属するが、会社が一部の費用を負担しているため、教室指導者自身の負担は比較的軽減されている。会費は、教室指導者が毎月会社の決定した金額を生徒から徴収し、生徒数やその増減等を会社に報告している。
教室指導者は、その補助者としてスタッフを雇っても、教室指導者が自ら直接生徒の指導に当たることに変わりはない。
教室指導者は、会社の推奨する範囲内で、物品の販売を自らの判断で行ったり、会社の提案により自ら店舗の立地を選択したりするし、教室の開設日及び開設時間について若干の選択の余地もあるが、これらのことをもって、教室指導者が会社から独立した学習塾経営者であるとまではいえない。
そして、教室指導者は、指導方法、教材、月額会費の額といった、学習塾経営の成否を左右する基本的な要素について自ら選択することにより他の学習塾との差別化を図って生徒数や教科数を増やすことはできず、自己の才覚により収入を増やすという独立の事業者としての要素を欠いている。
以上を総合すれば、教室指導者が会社から独立した学習塾経営者であるということは困難である。
   (イ) 全国の公文式教室のうち、教育指導者の運営する基本教室が約98パーセントを占め、会社の国内事業における収入の大半は、教室指導者が会社に支払うロイヤルティによるものである。教室指導者は、会社による能力実証を経た人材であり、会社の教室設置方針に基づく全国一律の公文式教育の普及拡大等も担っており、会社は、教室指導者の資質の維持向上や健康管理等を図っている。さらに、会社が、基本教室や教室指導者を第三者に対して自己の組織の一部として扱っていること、教室事業者は、学習塾の業務については、公文式教室事業に専属的に従事していること等も考慮すれば、教室指導者は、会社に対して労務を供給する関係にあるというべきであり、実質的には、公文式教室事業を遂行するのに不可欠な労働力として、会社の事業組織に組み入れられて業務を行っているとみるべきである。
イ 契約内容の一方的・定型的決定について
  本件契約の締結、変更、更新及び履行の方法のいずれにおいても、会社がその内容を一方的、定型的に決定しているといえる。
ウ 報酬の労務対価性について
原則として、会社から教室指導者に対し、金員の支払が行われることはないが、教室指導者は、会社の定める方法に従って、自ら教室運営や生徒指導という業務を遂行することにより、会社が定めた額の会費等を得ているといえるし、教室指導者が得る報酬は、会費の額や控除されるロイヤルティの額など会社の決定に左右されるところが大きく、報酬の額は、実質的に会社が決めているということができる。したがって、形式的な金員の流れのみにより、教室指導者の報酬の労務対価性を否定することはできない。
教室指導においては、教室指導者が自ら直接指導に当たらなければならないとされており、実態としても、教室指導者が会社が定める方法に従って教室運営や生徒指導を行っていることなどを総合すると、教室指導者の報酬は、結局、労務の提供の対価又はこれに類する収入としての性格を有するものといえる。
エ 業務の依頼に応ずべき関係について
教室指導者は、無料体験学習や入会等の申込み、並びに教室運営及び生徒指導に係る指示など、会社からの業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にある。
オ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束について
  教室指導者は、会社の定める方法に従って教室運営や生徒指導を行っており、実態として、教室指導者が教室の運営に当たり会社の指示に従わないことはほとんどないと認められる。
また、教室指導者は、生徒数の増減状況や教材使用数、生徒の到達進度及び教材学習枚数等を会社に定期的に報告している。
さらに、教室指導者は、定められた教室開設の日時及び教室の場所に拘束されて業務を行っているが、教室開設の日時については、各教室指導者は、会社が推奨する内容を大きく逸脱していない範囲で設定しているし、本件契約書で定める教室の場所も、教室の開設に先立ち、会社が自ら定める教室設置方針に基づき、事務局が教室指導者に提示した教室設置地域において選定され、会社の同意なく教室を移転することはできない。
したがって、教室指導者は、広い意味で会社の指揮監督下に置かれ、一定の時間的場所的拘束を受けて業務を遂行しているといえる。
カ 顕著な事業者性について
教室指導者は、実態として、会社が定める方法に従って教室運営や生徒指導を行っており、その業務の遂行に当たって大幅な裁量の余地が与えられているとはいえない。また、教室指導者の行う広報・宣伝等の活動については、実態として、会社が示す方法の範囲内で行われており、独自性を発揮する余地はほとんどない。
また、教室指導者は、教室の学習日にはその教室において直接生徒の指導に当たらなければならないことから、1教室当たりの教科数はおのずから一定の範囲内に収まると推測される。さらに、教室指導者は、会費及び冷暖房費以外の費用を徴収することは原則として認められていないし、公文式指導及び教室運営と関係のない物品の販売も禁止されている。このことからも、教室指導者自身の才覚や学習指導力により収入を増やすことは事実上困難であるといわざるを得ない。
教室指導者に独立した事業者の性格があることをうかがわせる事情が一部認められるものの、総合的に事情を考慮すれば、教室指導者がその実態において顕著な事業者性を備えているとはいえない。
 キ 結論
   本件における教室指導者は、ア)会社の業務遂行に不可欠な労働力として会社の事業組織に組み入れられており、イ)会社が本件契約の内容を一方的・定型的に決定しているということができ、ウ)教室指導者の得る報酬は、労務の提供に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有しており、エ)実態上、会社からの業務の依頼に対してこれに応ずべき関係にあり、オ)広い意味で会社の指揮監督の下に業務を遂行していると解することができ、その業務の遂行については一定の時間的場所的拘束を受けているということができる一方、カ)顕著な事業者性を認めることはできない。
これらの事情を総合的に勘案すれば、本件における教室指導者は、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。 

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