大西連『絶望しないための貧困学』
大西連さんより『絶望しないための貧困学』(ポプラ新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201174.html
現在、「日本に貧困はない」という人はいない。
実際に、6人に1人が「貧困」と言われるこの日本で、
「貧困」は私たちのすぐそばにある。
しかし、私たちはそれを体感しているだろうか。「貧困」は数字で語られることが多いが、
数字が語りかける「問題の深刻さ」は、
必ずしも具体的なイメージをともなわない。本書では、ストーリーとデータの往還から
「この国で貧困であること」の意味を浮かびあがらせていく。
私たちは「貧困」とどう向き合い、乗り越えていけばいいのか。
安易な絶望に陥らないための最良の入門書。
もやい理事長の大西さんの久しぶりの新著、ではありません。実は4年前に同じポプラ社から出た『すぐそばにある「貧困」』の新書版です。
なので、4年前にこの本を頂いたときに書いたエントリをそのまま引用しておきます。これは本当に正真正銘の素直な感想でした。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-5580.html (ビルドゥングス・ロマンとしての大西連『すぐそばにある「貧困」』 )
・・・大西さんとは、かつて一度、大野更紗さんや川村遼平さんと一緒にお会いしてお話をしたことがあります。いまは「もやい」の理事長をしている大西さんによる貧困問題についての啓蒙書・・・ではあるんですが、そして本人もそういう読まれ方を期待しているとは思うのですが、ここではそれとはひと味違う、この本独特の「読み方」を述べたいと思います。
それは、大西連という1987年生まれの一青年が、人生を見失ってふらふらしていた時にふとしたことからホームレスの支援運動に関わりはじめ、さまざまな出会いと悩みを繰り返しながら、その活動家として、そしてリーダーとして自己形成していく姿を描き出した、そういわゆる一つの「ビルドゥングス・ロマン」になっているんです。
冒頭第1章は、高校時代に不登校で渋谷のカラオケでお金がなくなり路上で出合ったホームレスの「ケンちゃん」とのエピソードから始まります。
高卒後フリーターとなっていた大西青年は、アルバイト先の友人に誘われて新宿中央公園の炊き出しに参加。「意識の低い」青年だった彼が、そこから生活保護の申請同行、相談会、不正受給をめぐるいざこざ、と、「成長」していく姿は、『活動家一丁上がり』の実録編であるとともに、何よりもこの大西連という「意識の低」かった青年の「ビルドゥングス・ロマン」となっています。
いやもう、「貧困」ものはおなかいっぱい。読まなくても大体わかってるし・・・、と言いたげなそこのあなた。本書はそれ以上の大きな付加価値があります。
今回の本には、最後に漫画家の柏木ハルコさんとの対談が載っています。
対談 「自己責任」と説教しても、貧困問題は解決しない(柏木ハルコ×大西連)
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