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2019年6月 7日 (金)

遠藤源樹編著『選択制 がん罹患社員用就業規則標準フォーマット』

Gan 遠藤源樹編著『選択制 がん罹患社員用就業規則標準フォーマット』(労働新聞社)を共著者のひとりである小島健一弁護士よりお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.rodo.co.jp/book/9784897617541/

がんに罹患した際の、社員のがん治療と就労の両立を支援するためのツールの一つである「就業規則」について、モデル規定例(先進企業の規定例も含む)とその解説を収載。
さらに、がん治療と就労の両立支援ポイントを簡潔に解説することで、がん罹患社員のニーズと企業対応が分かるものとなっています。
社員の高齢化が進むすべての企業が参考とすべき1冊です。

と言うように、本書のメイン部分はモデル就業規則なんですが、その後ろにがん治療と就労の両立支援ポイントが15項目にわたって詳しく解説され、さらにその後ろには、11名の方々による「特別寄稿」が載っています。

そのうち、小島弁護士の書かれている「両立支援の鍵は対話にあり」は、治療と仕事の両立支援は法的に強制されるわけではありませんが・・・という枕詞は間違っていると指摘し、「従業員が病気にかかわらず働き続けることを支援することは、企業にとって、紛れもなく法的な義務なのです」と語ります。

おや、昨年の法改正で入った労働施策推進法でも、国の施策に並んでいるだけじゃないかと思ったあなた。小島さんが言っているのは、障害者雇用促進法による差別禁止と合理的配慮の義務のことなんです。雇用率と違い、こちらの「障害者」は障害者手帳所持者に限られず、がん罹患者もこれに含まれるというわけです。

さらに、「がんに罹患した社員に仕事を続けさせて、もし何かあったら会社ガ責任を問われるのではありませんか」という質問に対しても、「会社は一見すると、相反する安全配慮義務と合理的配慮提供義務を両立させなければならないという難しい立場におかれるように見えます」と言いつつ、「そもそも安全配慮義務の法的性質は“結果債務”ではなく“手段債務”」なので、「決して“結果責任”を課すものではありません」と説明しています。このあたり、労働法学者がきちんと議論を展開しておかなければいけない点ですね。

 

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