留学生のアルバイトは最大のサイドドア
最近、東京福祉大学の外国人留学生が大量に行方不明になったり、日本語学校が留学生を強制帰国させようとしたとか、留学生がらみの問題が話題ですが、実は、外国人留学生というのは現在の日本における、いわゆるサイドドアからの外国人労働力の中ではほぼ最大勢力になっているんですね。
今年1月に公表された「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、2018年10月末現在の外国人労働者総数1,460,463人のうち、留学生の資格外活動は298,461人(20.4%)です。これは、技能実習生の308,489人(21.1%)にほぼ匹敵し、専門的・技術的分野の在留資格276,770人(19.0%)や永住者の287,009人(19.7%)よりも多いのです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000472892.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000472893.pdf
他の在留資格と明確に異なるその特徴は就労業種にあります。技能実習生は308,489人のうち186,163人(60.3%)が製造業、45,990人(14.9%)が建設業と、圧倒的に第2次産業に従事しているのに対し、留学生の資格外活動は298,461人のうち、宿泊・飲食サービス業が109,175人(36.6%)、卸売・小売業が61,360人(20.6%)、その他のサービス業が47,152人(15.8%)と、圧倒的に第3次産業に集中しています。
ところが、同じサイドドアの外国人労働者でも日系南米人や技能実習生については結構山のような調査研究が積みあがっているのですが、留学生のアルバイトを正面から取り上げたものはあまり見当たりません。これは、同じ非正規労働の中でも、日本人学生のアルバイトもパートや派遣に比べてあまり注目されてこなかったことと共通しているのかもしれませんが、一種のエアポケットになっていたようにも思われます。
上記外国人雇用状況によると、留学生の資格外活動は、2012年の91,727人(13.4%)から2018年の298,461人(20.4%)へと、6年間で3倍増し、割合も大幅に増えています。そろそろ正面からきちんと議論すべき時期が来ているように思われます。
ちなみに、最近出た一般向けの本ですが、芹澤健介『コンビニ外国人』(新潮新書)があります。「日本語学校の闇」では、「日本語学校の中には、学校というよりただの人材派遣会社になりさがっているところもありますしね」という証言など、興味深い記述も多く、この問題を考える上で参考になります。
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