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2019年6月14日 (金)

大学教授はジョブ型正社員か?

大学教授と言えば、その専門分野の学識で採用される真正高級のジョブ型正社員じゃないかとも思われるところですが、必ずしもそういうわけでもないということが、最近の裁判例で明らかになったようです。今年5月23日の東京地裁の判決、淑徳大学事件では、

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/728/088728_hanrei.pdf

本件は,被告との間で期間の定めのない労働契約を締結し,被告の設置する大学の教員として勤務していた原告らが,被告が原告らの所属していた学部の廃止を理由としてした解雇が無効であると主張して,被告に対し,労働契約に基づき,それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,解雇後の月例賃金,夏期手当,年末手当及び年度末手当である原告Aにおいて別紙①請求一覧表1の,原告Bにおいて別紙①請求一覧表2の,原告Cにおいて別紙①請求一覧表3の各支給日欄記載の日限り各金額欄記載の各金員並びに各金員に対する各起算日欄記載の日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

大学教授も無限定正社員なの?

淑徳大学の就業規則によれば、

被告の就業規則8条は「学園は,業務上必要と認めた場合,教職員に対し勤務地,所属部署,職種及び職務の変更を命ずることができる。」と定め,同14条は「教職員が次に掲げる各号の一に該当するときは,解雇する。」と定め,同条4号は「やむを得ない理由により事業を縮小または廃止するとき」と定めている(甲6)。

ふむ、普通の会社と一緒ですね。ただ、原告側主張では、職種は大学教授に限定されているけれども、職務つまり何を教えるかは無限定だということのようです。だから、国際コミュニケーション学部を廃止しても、他学部に配置転換することで雇用を維持できるはずだと。

それに対して被告大学側は、「大学は学部ごとに研究及び教育内容の専門性が異なるから,大学教員は所属学部を限定して公募,採用されることが一般的であり,淑徳大学においても,教員を採用する際は,公募段階で所属学部を限定した上,所属予定の学部の教授会又は人事委員会が承認した場合に限って採用している」と主張しています。

この点について、判決はなんだかずらして議論をしています。

・・・しかし,原告らの所属学部が同学部に限定されていたか否かは別として,淑徳大学には,アジア国際社会福祉研究所その他の附属機関があり,学部に所属せずに附属機関に所属する教員が存在し,原告らが配置転換を求めていたことは前記認定のとおりであるから,被告は,原告らを他学部へ配置転換することが可能であったかはともかくとしても,附属機関へ配置転換することは可能であったことが認められる。そうすると,仮に原告らの所属学部が同学部に限定されていたとしても,国際コミュニケーション学部の廃止によっても,原告らの配置転換が不可能であった結果,原告らを解雇する以外に方法がなかったということはできず,被告の主張は採用することができない。

他学部への配置転換を考慮する義務があるかどうかはともかくとして(なんやこれ)、附属機関への配置転換はできるやろうと。結論として解雇回避努力を尽くしておらず解雇無効としています。

と、これだけでもいろいろと議論のネタになりそうな判決ですが、そもそも最近の大学教授の皆様の状況は、むしろ率直に無限定社員化しつつあるというべきなのかもしれません。

 

 

 

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コメント

“ジョブ型正社員じゃないかとも思われるところ”
“率直に無限定社員化しつつある”

もしも仮に「事業(学部)の廃止⇒(法人内で)配置転換の義務」ということであるなら、
事業(学部)の「譲渡」の場合も(法人内での)配置転換の義務が発生しそうですけどね

前者の状況(実態と「ある種の建前」の乖離)を作り出してしまったのは昨今の国の文教
政策によるところも大きいように思いますけどね

「○○という建前を貫徹したい」、「××という政策を実行します」と言うんだけれども、
いや、その政策は、むしろ、その建前には逆効果でしょうに、みたいな話が多いんだよな

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