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2019年6月10日 (月)

『Works』154号「巧みに休む」

Works_1 リクルートワークス研究所の『Works』154号が「巧みに休む」という特集を組んでいます。

http://www.works-i.com/pdf/w_154.pdf

はじめに そんなに休んで仕事が進むのか、という疑問を持つ人たちへ

●日本人は、なぜ休むのが下手なのか
・日本人は休めているのか
・日本人はなぜ休めないのか 3つの理由
 理由1 “休むこと”を軽視している
 理由2 法規制が不十分である
 理由3 “休まない”組織文化がある

●巧みな休み方を知る・実践する
・巧みに休む1 日々、きちんと疲れを取る
睡眠(いい睡眠とは何か/睡眠の改善に企業が動き始めた/社員の睡眠の質・量を計測/昼寝のための個室を用意)
インターバル制度(休む時間を起点に、労働時間を決める/欧州並みの11時間のインターバルを設定)
つながらない権利(“働かせたい企業”“働きたい個人”を抑制する)
“田舎”に暮らす(サテライトオフィスを海辺の町に設置)

・巧みに休む2 長い休みでリフレッシュする
“山ごもり”の権利(休暇中は、“つながらない”を徹底)
会議をやめる(“ハッピーオーガスト”に連続休暇の取得を推進)
ワーケーション(長期休暇の途中で“働く”)

・Column: 海外の“休み方” Germany
・Column: 海外の“休み方” Norway
・Column: 海外の“休み方” U.S.A.

まとめ:“休むこと”を起点に考え方と行動をどこまで変えられるか/石原直子(本誌編集長)

この「日本人はなぜ休めないのか 3つの理由」の「理由2 法規制が不十分である」のところで、わたくしが顔を出しております。

・・・たとえば有休について。「欧州での有休に関する諸制度は、1936年に国際労働条約(以下、ILO条約)として1年に6営業日と定められたことによって枠組みが決まりました。このときの原則は、“6日連続で取る”ことでした。6営業日ということはつまり、日曜を含めた1週間という意味です。欧州において有休は週単位で取るものであって、心身を休めるには1週間程度は必要という、働く人々の健康確保の視点が入っていました」(濱口氏)
 1970年には、国際労働機関(以下、ILO)が有休は最低3週間と宣言した。このときは、分割してもいいがそのうちの1回は必ず2週間以上の連続休暇を取得させること、とされている。「EU指令では、これを上回る4週間の有休を与えるべきとしています。単位は“週”であっ、“日”ではありません」(濱口氏)。欧州の人々は実際に、夏には2週間から4週間のバカンスを当然の権利として取得している。先のエクスペディア・ジャパンの調査によれば、ドイツ、フランス、スペインの有休取得率は100%、英国、イタリアもそれに準ずる高い数字である。
 では、我が国の法律はどうなっているのか。労働基準法では、フルタイムで6年6カ月以上働いた従業員には毎年20日ずつの有休の付与が義務付けられている。そもそも付与日数が、欧州各国の3分の2程度であるが、「問題視すべきは、連続取得の規定がないこと。これは、1947年の労働基準法の制定時の思想が変わることなく残っているために生じる問題です」(濱口氏)

労働基準法の制定は、1947年、つまり終戦直後である。有休は従来の工場法などにはまったく規定がなく、ILO条約などに基づき新たに導入するものだった。「当時、制定に携わった担当者は、有休が週単位でまとめて取られているという欧州の事情を知っていたことがわかっています。原案では継続6日を要求していたものの、『一定期間継続的に心身の休養を図るという年次有給休暇本来の趣旨は著しく没却されることになるが、我が国の現状では労働者に年次有給休暇を有効に利用させるための施設も少なく、労働者は生活物資獲得のため、週休以外に休日を要する状況もあり』(*)分割を認めることとなったのです」(濱口氏)
 戦後間もなく、焼け野原が広がる時代にあっては、有休のときに利用する宿泊施設やレジャー施設がほとんどなかったのは想像に難くない。そして、人々が日々の暮らしのために一日がかりで買い出しに行くのも当時の日常の光景であり、有休があれば、その買い出しの日に仕事を休んでも給料をもらえる、というのは大きなメリットがあったのだ。
「高度経済成長期になると、こうした特殊な事情はなくなっていきます。もはや買い出ししなくてもどこでも買い物はできるし、宿泊施設やレジャー施設も十分にできました。それなのに、本来の年次有給休暇とは何か、というところに立ち戻ることを忘れたまま、有休取得率をいかに増やすか、という議論だけが積み重ねられました。“長期”休暇をいかに取るかということは検討の俎上に載ることがないまま、今日に至っているのです」(濱口氏)
 今や半日単位、時間単位での有休を取得可能にするなど、さらに細分化する傾向にある日本の有休制度は、「諸外国のなかでは非常に特殊な発展の仕方」(濱口氏)をしており、本来の趣旨からどんどん離れていっているのが現状なのだ。

この話、わたくしの講義を聞いたことのある人にとっては毎度おなじみの「ああ、あの話か」でしょうが、意外に世の中に知られていません。

 

 

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