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2019年6月15日 (土)

職業安定法旧第33条の4(兼業の禁止)

あるニュースを見て、職業安定法の今は亡きある規定を思いだしました。

(兼業の禁止)
第三十三条の四 料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。 

この規定、すでに2003年の改正で削除されているんですが、このうち貸金業については、いろいろと問題があります。

この規定を思いだしたニュースというのはこれですが、

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190614/k10011952671000.html (借金ある男性に除染現場で強制労働させた疑い 男3人逮捕)

・・・米倉容疑者は、知り合いからの借金があった男性を「返済のため仕事しろ」などと脅して、ともに逮捕された男が経営する福島県の会社で除染作業員として日当1500円で2日間働かせたということです。

警視庁によりますと調べに対して、米倉容疑者は「借金返済を理由に仕事を勧めたが、無理やり連れていってはいない」などと容疑を否認しているということです。

実は今から8年前にこういうエントリを書ていたんですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-58bd.html (女は風俗、男は原発)

これでもそうとうにやばいですが、その先はいよいよ・・・

>そして、もう一つのルートが多重債務者だ。貸金業法改正によって、正規の業者から融資を受けられなくなった人が、いわゆるヤミ金から斡旋されて作業員になるケースもあるという。
>「女は風俗、男は原発というのが昔からの常識。元金にもよるけど、利子を引かれて元に残るのは5000円とか。一杯飲んでタバコ買ったら終わり。だからなかなか辞めない。でもよく働くよ、最近の多重債務者は。ほかに貸してくれるところがないからだろう」

ちなみに2003年改正まで、職業安定法には兼業禁止規定がありました。もとをたどると戦前の職業紹介法に由来し、料理店業・飲食店業・旅館業・古物商・質屋業・貸金業・両替業等と職業紹介事業との兼業は禁止されていたのです。「借りた金を返せねえのなら、体で返してもらおうか」という世界が現実にあったからですが、改正時にはそういう現実が遠いものに感じられるようになっていたのでしょう。 

借金のカタにやばい仕事に送り込むという世界は、戦前以来脈々と続いているようです。

 

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